投資ラウンドにはシード、アーリー、シリーズA、シリーズBなど段階があり、各VCもカバーするフェーズが異なるものだが、そもそもフェーズごとの支援の違いとは何か。
西條氏は、「フェーズごとに次にギアを変えるタイミングだということを教えたり、背中を押してあげたりすることを意識する」とのこと。例えばグロースさせる段階で調達した際、広告に2〜3億円使わないと明暗が分かれるというようなケースで意思決定を後押しする。
澤山氏は、まずシードの場合はスピード感が重要と説く。「お金が無くなる前までにプロダクト・マーケット・フィットに辿り着けるか。初めて起業する人は、自分は全速力のつもりでも他と比べると遅かったりする」ということをしっかりと教える。
シードから脱皮するタイミングでは、「シード時に投資家と会っていない人が多く、どのような話をして、どうコミュニケーションするか分かっていないので、戦略的にどう話をするかをアドバイスする」(澤山氏)という。
堤氏は、シリーズAの場合18か月後くらいに次のラウンドに入ることを想定し、細かく切って計画と進行管理をする。その結果、「シリーズBに行かない会社はほぼない」という。またAからBになればなるほど重要で、人も増えて出ていくお金が増えているので、きちんとしていないと簡単にお金が溶けてしまうと注意を促す。
最後に、VCの世界の未来について。堤氏はVCにはあまりこだわりが無く、最終的には社会課題を解決して世の中を変えていけるのであればいいという考えを持つ。STRIVEとう社名に“VC”と入れていないのもその姿勢の表れとする。「社会課題を解決するコングロマリット企業の1つがVCという形に変貌していくのが理想の未来像。それ以外の事業も作っていければと思っている」とのこと。
澤山氏もそれほどVCにこだわりを持たず、「ステレオタイプにとらわれずに、何でもやれることはやっている」という。メディア然り、採用イベント然りだ。未来については、「米国はこの4〜5年で数十億円レベルのマイクロVCが何百と生まれている。それらが領域や支援スタイルを特化して多様性が生まれていて、日本も中長期的には多様性に入るタイミングに入ってきた。3〜5年で多岐にわたる支援のスタイルが出てくるのでは」と語る。
西條氏は、銀行、特に不勉強な担当者が多い地銀がベンチャーにとってもはや時代遅れになっていると指摘した上で、お金の支援をしているだけでは「VCも危ない」と警鐘を鳴らす。
「資金調達は資本でやらなくてもいい。クラウドファンディングもある。法律が整備されれば20年後には仮想通貨を使ったICO(イニシャル・コイン・オファリング)やSTO(セキュリティトークンオファリング)など、いろんな手法の採用が想定される」。
3人の見解を受けて東氏は、「環境も変わっているので、我々自身もVC自体の価値を上げてベンチャーにとって価値のあるものであり続けないといけない。我々も変わっていくタイミングかと思う」とまとめた。
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