LINEは6月27日、LINEでテイクアウトできる店の検索から注文、事前決済までできるテイクアウトサービス「LINEポケオ」の本格展開を開始した。
LINEポケオは、4月18日より先行公開として、ファミリーレストラン「ガスト」「バーミヤン」「ジョナサン」の国内約2000店舗での注文受付を開始。6月18日からは、新たに牛丼チェーン「松屋」やとんかつチェーン「松のや・松乃家・チキン亭」の国内約1100店舗が加わり、これらの店舗ではモバイル送金・決済サービス「LINE Pay」にも対応している。
本格展開に伴い個人経営飲食店の対応を開始し、簡単にテイクアウトサービスを始められるオーダーシステム「LINEポケオ for biz」の提供を開始。同日より申込みを受付する。
LINEポケオは、飲食市場は日本に50万店舗、33兆円と言われる大きな領域にアプローチするサービスと意気込む。本格展開にあたり、現状をどう見て今後どう普及させていくのか。LINE 執行役員 O2OカンパニーCEOの藤井英雄氏とLINE O2O事業室 ECサービスチーム LINEテイクアウト プロジェクトリーダーの柿沼誠氏、O2Oカンパニー カンパニーエグゼクティブCMOの藤原彰二氏に話を聞いた。
──4月に先行公開としてサービスを開始しましたが、2カ月を経てどんな印象でしょうか?
藤井氏 :先にスタートしていたオンラインデリバリの「LINEデリマ」では土日の注文が多く、週末に非日常の領域で使われることが多かったので、もっと平日のごはん需要にアプローチしていきたいと思っていました。テイクアウトを導入することで平日の売上げが上がるんじゃないかという仮説のもとにLINEポケオを立ち上げたのですが、店舗において平日の取扱高がしっかり上がっていました。
また、外食チェーンの方にテイクアウトに来る方はどういう方なのか聞いてみると、女性が多いんですね。チェーン店ではおひとり様で食べる人は男性が多いけれど、実際にピックアップする人は半々か女性のほうが少し多いという話しがありました。LINEデリマも女性が強かったので同じ傾向になるのかなとは思っていましたが、想定通りになりまして、65対35ぐらいで3人に2人は女性という結果になりました。
──ユーザーの反応はどうでしたか?
藤原氏:ユーザーの声としては、わりとポジティブな傾向が多いですね。ただ、ポケオという名前が言いづらいというような声はいただいています。われわれも最初はそうだったのですが、いまは定着しているので慣れもあるのではないかと見ています。
利用動向としては、ユーザーがどこの距離まで取りに行くか、というデータはこれまでほとんどなかったと思います。LINEポケオでは、割合的には300m〜500mぐらいの近いところで頼む率は意外と33%程度で、電車に乗る前に注文して受け取るというユーザーが67%。位置情報を使ったプッシュやプル型のものは相性がいいなということが改めて分かったというところではあります。
一方でソフトローンチの結果、ユーザーの現在地から近い位置だけでは、ユーザーニーズを満たせないことが分かったこともあり、今後はLINEのビッグデータの強みを活かし複数の位置のレコメンドをしていきたいと思っています。
──今後の課題をどう見ていますか?
藤井氏 :まずは、日本でテイクアウトするというカルチャーがないということでしょうか。いま日本で一番大きなテイクアウトのプラットフォームは何かと回りに聞いても、まだ出てこないと思います。そのカルチャーづくりですね。
藤原氏:LINEは一度使うとリテンション率(定着率)が高いのですが、1回使ってもらうまでが大変なのです。そこで、松屋の「牛丼並盛り」やジョナサンの「和風てりたまハンバーグ」など、一部メニューが100円(税込)で楽しめるキャンペーン「100円ポケオごはん」を開催することにしました。
店舗側にとっては、100円で1回ユーザーにそのお店の味を覚えていただき、かつ店舗の場所を知ってもらえる。LINEのユーザーも100円で安価にごはんが食べられて、場所も覚えられるので、後々イートインにいく選択肢にもつながります。飲食店の新しいマーケティングとしてご相談いただくことも多くなっていますね。
藤原氏:後々は、Orderプラットフォームとして、デリバリーテイクアウトだけではなくイートインにおけるオーダーなども考えて行きたいと思っています。
ユーザーからしたら、テイクアウトとかイートインとかデリバリとか、その日の気分によっても違うし、もしかするとオーダーしたあとで変わる可能性もあると思うんです。たとえば、テイクアウトで取りに行こうと思ったら、突然雨が降ってきました。『プラス400円かかるけれどデリバリにしますか?』というようなことができたら理想的だと思っています。
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