KDDI高橋社長が語る「スマートマネー構想」--au IDのキャリアフリー化も - (page 2)

カブドットコム証券にTOB、傘下金融企業はauブランドに

 高橋氏はさらに、スマートマネー構想の実現に向けた取り組みとして「これまで展開してきた会社を整理整頓しようと思う」と話し、4月に中間金融持ち株会社の「auフィナンシャルホールディングス」を設立すると発表。じぶん銀行や「ウェブマネー」「KDDIアセットマネジメント」など、KDDIの金融関連企業をその傘下に移管するとした。

 さらに高橋氏は、三菱UFJ銀行と合弁で展開しているじぶん銀行の議決権比率を63.78%に高めて子会社化すること、そして三菱UFJ証券ホールディングスの連結子会社であるカブドットコム証券の株式をTOBで49%を取得し、関連会社化することを明らかにした。カブドットコム証券はすでにKDDIと提携関係にあり、1月にはじぶん銀行から不足残高を自動入金する「オートスイープ」などを提供しているが、今回の株式買収によってより深い関係を構築していきたいとしている。

じぶん銀行の子会社化に加え、カブドットコム証券の株式をTOBで取得し、関連会社化することも発表された
じぶん銀行の子会社化に加え、カブドットコム証券の株式をTOBで取得し、関連会社化することも発表された

 その上で、「ここまで整備したので、会社の名前も統一したら分かりやすくなる」と高橋氏は話し、auフィナンシャルホールディングスとなる傘下の5社と、au損害保険、そしてカブドットコム証券の7社の社名に「au」を付けてブランドを統一することも発表。これによってじぶん銀行は「auじぶん銀行」、カブドットコム証券は「auカブコム証券」となるほか、ウェブマネーは名称自体が大きく変化し「au PAY」となる。

傘下の金融関連企業をauブランドに統一することも発表。カブドットコム証券は「auカブコム証券」となる予定だ
傘下の金融関連企業をauブランドに統一することも発表。カブドットコム証券は「auカブコム証券」となる予定だ

 また高橋氏は、KDDIが展開しているベンチャー企業への投資ファンド「KDDIオープンイノベーションファンド3号」についても、auフィナンシャルホールディングスを活用していく方針を示す。同ファンドでは「FinTechの分野が弱かった」(高橋氏)ことから、auフィナンシャルホールディングスを活用することにより、今後FinTech分野のベンチャーへの投資を推し進めていきたいとのことだ。

 高橋氏は、KDDIが通信事業による顧客基盤を持つこと、OTTサービスと異なり毎月の通信料でau WALLETのポイントが自動的に貯まる仕組みを持つこと、そして携帯電話大手3社の中で、金融のサービスが最も充実していることが、KDDIの金融事業の大きな強みになるとしている。その上でauフィナンシャルホールディングスを中心としたスマートフォン金融グループの拡大により、「2021年くらいに、決済・金融取扱高6兆円を目指す」と、具体的な目標を掲げ今後の事業展開に意欲を示した。

夏にはauのIDやサービスをキャリアフリー化

 高橋氏はもう1つ、これまでauの契約者だけに閉じていた、auのIDや決済サービス、ポイントなどのキャリアフリー化を今回の発表会で明らかにした。キャリアフリー化は2019年夏に実施する方針で、それにともないau WALLETによる決済やポイントなどもキャリアフリーで利用できるようになるとのことだ。

auのIDや決済などのサービス、ポイントなどをキャリアフリー化することも明らかにされた。時期は2019年夏頃を予定しているとのこと
auのIDや決済などのサービス、ポイントなどをキャリアフリー化することも明らかにされた。時期は2019年夏頃を予定しているとのこと

 キャリアフリー化に至った理由について、高橋氏は「金融サービスやポイントを提供する上で、加盟店と話していると『(対象が)auユーザーだけなの?』という話になる」と説明。金融サービスを拡大する上で、au以外の顧客開拓が欠かせなくなったとの認識を示した。ただし一方で、「キャリアフリーにしたらユーザーがつく訳ではない」とも話しており、従来通り垂直統合でauの顧客体験価値を高める取り組みは引き続き実施していくとした。

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