グルーヴァースは2018年11月に設立した企業だ。グルーヴァースがQRコードデータを発行し、QRコードの発行枚数に応じて参加企業から手数料を徴収するしくみ。参加企業は、どんな人がその製品を手にしたかがリアルタイムで見られるメリットがある。
「今回のしくみは、購買データではなく支持者、ファンデータ。手に取ってくれた人がQRでスキャンするため、購買データとは結びついていない。どんな商品が支持者の期待に応えられているのか。データ分析のあり方を変えていける」(福島氏)と自信を見せた。
ウェルちょのポイントシステムは日本アイ・ビー・エム(日本IBM)のブロックチェーン基盤「Hyperledger fabric」を採用している。これまでのポイントシステムは、中央に信頼できる第三者にデータ集約し、信頼性を担保するシステムのために大規模な投資が必要だった。
ブロックチェーンを活用することで、企業同士でノードを持ち、ポイントのトランザクションを記録することで、改ざん耐性が高く参加企業であれば取引記録を確認できるため、ブラックボックスになりがちなポイントシステムよりも高い透明性が実現できるという。
ブロックチェーンのインフラ採用は、海外だと食のトレーサビリティや貿易管理システムなどですでに実績があるという。しかし、国内でみるとBtoC領域では、実証実験フェーズが多く、実際に消費者が使えるサービスとして実装されるのはあまり例がない。
日本IBMの高田充康氏(インダストリー・ソリューションズ事業開発 ブロックチェーン・ソリューションズ事業部長)は、「他業種が参入できるプラットフォームとしてブロックチェーンが用いられる。ロイヤリティポイントも(ブロックチェーン活用に)向いているユースケースだが、日本IBMとして消費者も入る初めての取り組みとなる。世界的に見てもかなり先進的と考えている」とコメントした。
福島氏は、ブロックチェーンを採用した理由として「一社でシステムを構築してガバナンスを作るのであれば、ブロックチェーンの必要はない。ただし、共通のプラットフォームを一つの会社に依存せずに構築するにはブロックチェーンを使う価値がある。各社分担であればコストも高くはならない。一社の信用力だけでプラットフォームを作るか、複数社で共同運用するかの考え方になる」という。
また、「今回ブロックチェーンを使いたいとラブコールしたのは三井物産。コスト面だけ見ると間違いなく従来型で良いが、いろいろな人たちで支えられる仕組み、たとえグルーヴァースがなくなってもシステムが生きている必要がある」とし、「新しいものを作る一つの挑戦としてブロックチェーンを使った」と述べた。
システム開発はグルーヴァース、アプリはフィノバレーが担当する。今のところは外部接続しないプライベートチェーンとして機能するが、外部チェーンとの接続も研究されており、今後はAPI接続やブロックチェーン自体の接続も含め外部接続を検討したいとしている。
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