そして、「次の目玉」を打ち出すにもいいタイミングではないだろうか。それがどんなものかは分からないが。
CEOのCook氏は、この危機を乗り越えられるだろうか。
騒ぎが一段落したところで、投資家たちは責任の追及を始める可能性が高い。当然、Cook氏がやり玉にあがるだろう。何といっても、売り上げ予想の下方修正を発表するという事態は、Appleにとって10年以上ぶりだ。そのうえ、わずか60日という期間で見通しが良好から不良に急転したという事実は、見過ごせるものではない。
しかも、その見通しと同時に出荷台数の公表をやめると発表したことも大きい。これも、アナリストや投資家を動揺させる動きだった。
経営陣に何か見落としがあったのだろうか。状況の把握に隙があったのだろうか。中国市場の動向に鈍感だった可能性もある。「私たちの業績予想に対する(Appleの)売上高の不足のほとんどが中華圏におけるiPhone、MacそしてiPadの販売台数の減少を原因とするものであり、そして中華圏におけるこれらの製品の売上高の減少幅は、世界全体の売上高の前年同期比での減少幅の100%を超えました」。投資家に向けた手紙に、こう書いているくらいだ。
率直に言おう。ホリデーシーズンの時期に、Appleの中国市場が落ち込んだことは確かだが、今後はこの問題が中国だけに留まらなくなる可能性がある。
Appleは、他者を指弾する姿勢を崩していない。投資家に向けた手紙でも、iPhoneの販売業績について、「キャリアからの補助金が少なくなってきている現状に消費者が適応してきていること、強い米ドルによる価格の上昇、そしてiPhoneのバッテリ交換料の大幅な値引きを利用したお客様の存在など」の影響を受けたと書いている。
そうした要因はもちろんあるが、責任はAppleの経営陣にある。
これまでも一貫して広言してきたように、筆者はCEOのCook氏を「管理人」だと思っている。危ない橋は渡らず、あくまでも保守的に物事を進め、故Steve Jobs氏から引き継いだ遺産から、できるだけ多くを絞り出そうとしてきたのだ。その務めは、十分に果たしている。Cook氏のリーダーシップのもと、特にサービス収益の点で、Appleが大きく変わったことに疑問の余地はない。だが、それでは、iPhoneの成功と堅調な業績に、ひいては広くスマートフォン市場に依存する態勢からAppleが脱却することはできなかった。
今回の経緯で、投資家たちはCook氏に対する信頼を引き下げるのか、それとも引き続きAppleの指揮をとるのに適した人材だと判断するのか。今後の動きを見守りたい。
2019年は、Appleにとって興味深い年になるだろうと思っていた。いや、毎年そうなのかもしれない。だが、1月2日に下方修正を発表したことで、この1年が特に刺激的な年になるのは間違いないはずだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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