「AIは永遠の春に入った」--人工知能の権威、アンドリュー・ウ氏が語る - (page 2)

Tiernan Ray (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル2018年12月25日 07時30分

 Ng氏は、5つの基本ステップを、実行する順に以下のように挙げている。

  1. 組織内でいくつかAIのプロジェクトをパイロット運用し、弾みをつける。私がGoogleに在職していたときには、ディープラーニングについて懐疑論のほうが多かった。最初に賛同してくれたのは音声認識グループで、そこで進捗が見られるようになると他のチームもGoogle Brainチームの能力を信頼するようになった。次に賛同してくれたのは「Googleマップ」のチーム、というように、組織内でAIについて考える弾みを作っていった。
  2. 独自の社内チームを活用し、アウトソーシングしない。
  3. AIに関するビジョンを社内の各リーダーたちに伝えるためにトレーニングを実施し、AIの成果物を社内で運用する術を知ってもらう。
  4. AI戦略を築く。これは必然的に業界固有のものとなる。これを第1のステップと考える向きもあるが、私は反対だ。大企業の失敗例を見てきたからだ。そのようなケースでは、最初に戦略を立てて予算も獲得するが、会社がまだAIに慣れていないので、戦略は学術的なものにとどまる。記事の見出しなどからかき集めてデータはたくさん集まるが、そうした戦略はうまくいかない。ステップ1で、まず実例を作ってから、しかるべき手順を踏むべきだろう。
  5. 戦略を従業員に伝え、職を失うなどの不安を払拭する。
5つのステップについて説明するNg氏
5つのステップについて説明するNg氏

 肝心なのは、それが1つの製品だけにとどまらないということだ、とNg氏は続ける。Googleやバイドゥのような巨大企業でも同じだという。「広告からウェブ検索、コンピュータセキュリティまで、一連のAI製品を動かす力を持っていて、それが最終的な収益に影響する」

 このコースをたどれば、企業はAIを利用してグローバルなGDP成長に「大きく貢献」し続けられるとNg氏は期待している。

 古い企業が、配車や輸送を手がけるUberのような「AIファースト」のスタートアップと競い合えるかどうかという問いに対しては、「シリコンバレーの通説を信じすぎでは」という答えが返ってきた。

 「テクノロジ業界での流れとして、勝つのは必ずスタートアップという共通の認識が存在する。だが、GoogleやFacebook、Amazon、バイドゥは勝っているかもしれないが、MicrosoftやAppleもうまくやっている。デスクトップソフトウェア時代の企業であるMicrosoftが、AI時代の大手になると誰が考えただろうか」(Ng氏)

 「AIの隆盛とともに、優秀なスタートアップが生まれてくるだろう。だが、大々的な移行を果たす既存の企業も出てくるはずだ」(Ng氏)

 Ng氏による解説書は、同氏が共同創業し、CEOも務めている企業Landing AIからオンラインで発行された。同社は企業と契約して、企業がこの解説書に記された手順に従って運用できるよう、サポートしている。Ng氏はまた、AI Fundの創業者、ジェネラルパートナーでもあり、こちらはアイデアを持つ人がゼロからAI企業を立ち上げることを支援している。同氏はさらに、AIに関するオンラインコースを展開しているdeeplearning.aiの創業者でもある。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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