10月16日には、来日していたNiantic CEOのジョン・ハンケ氏らによって、同社のビジョンやカルチャー、なぜ同社がここまでARにこだわるのかといった思いが語られた。
もともと、ハンケ氏の「家でずっとゲームをしている子どもを外に連れ出したい」という思いから生まれたIngressやPokemon GOなどの位置情報ゲームだが、Nianticでは(1)出かけることで発見があるか、(2)好きなことをしていて気がついたら運動をしているような仕掛けがあるか、(3)人と人とをつないで何かを一緒にやるきっかけを生み出しているか、という3つの価値を大切にしていると同社の河合敬一氏は話す。
この考えに沿って作られた機能として、たとえばIngressではスタンプラリーのように地元の観光名所などを巡れる「ミッション」をユーザーが作れる機能を設けている。また、Pokemon GOでは、同じ時間、同じ場所にいたユーザー同士で力を合わせて、1体のボスモンスターと戦う「レイドバトル」という機能を提供している。
同社ではオフラインのイベントも国内外で積極的に開催してきた。その理由についてハンケ氏は、イベントは同社が大切にしている上記の3つの価値をすべて体現している場であるからだと説明する。初回のIngressの公式イベントの参加者は数十人規模だったが、いまでは数万人に増えており、Pokemon GOにいたっては数十万人規模にまでに拡大しているという。
そして、現在同社が力を入れているのが「AR」領域だ。Nianticの川島優志氏は、「これからNianticは、ARを重視した技術を追求・研究して世界に生かしていきたい。われわれならではのユニークな点は、あまり日の当たらない、忘れられているようなものに日を当てて、再発見してもらうこと」だと語る。
その思いを表しているのが、INNOVATION TOKYO 2018で展開しているPokemon GO AR庭園やAR Roppongi x Ingressだ。たとえばPokemon GO AR庭園は、ポケモンの鳴き声に耳を澄ませることで、普段何気なく通り過ぎてしまいがちな庭園の水の音や、虫の音色、草木が揺れる音などにも興味を持ってもらうことができるコンテンツとなっている。
同社では「リアルワールドプラットフォーム」の開発も進めているが、ハンケ氏は同プラットフォームについて、「われわれの過去のゲームの技術の集合体だ。IngressにもPokemon GOにも、そして2019年に提供するハリー・ポッターのゲームにも使われている」と話す。
具体的には、世界中の人々が同時にゲームやコンテンツを楽しめるように、Nianticのエンジンでは1秒あたり100万回のリクエストを処理できるよう設計していると説明する。また、先ほど紹介したNeonのように、高度な画像認識技術によって、複数の人が同じ空間でシームレスに体験を共有できるARプラットフォームを構築できるところも他社にはない強みだと強調した。
「私が確信を持っているビジョンとして、いまARが提供されているデバイスは主にスマホだが、大きくても5インチほどの画面の中ですべてを表現している。しかし、ARのポテンシャルはこんなものではない。技術的なハードルはたくさんあるが、この技術がもっと進歩すれば、最終的には現実世界のすべてのものにインターネット上の情報を付与できるようになる。近い将来そんな世界が必ず来ると思っている」(ハンケ氏)。
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