4G LTEの初期段階でもうひとつ問題だったのが、サービスエリアのギャップだった。あるときには、高速のオンラインアクセスと動画のストリーミングを楽しめたかと思うと、次の瞬間には3G回線に切り替わって、何もかも動作が遅くなってしまう。しかも当時は、4Gのエリアに戻っても再認識されないことがあった。
「消費者は、間違いなく5Gネットワークでも同じようなトラブルが起きることを予想しておくべきだ」。PricewaterhouseCoopers(PwC)のコンサルタントDan Hays氏はそう指摘する。
5Gに期待されている速さ(10倍から100倍は高速になるという)を考えると、今回は体感する低下の度合いがもっと極端かもしれない。範囲が狭くなりがちで、中断も頻繁に起こる超高周波数無線(最も高速な無線を提供する)については特にそうだ。
「時速約100kmで高速道路を走っているときに、急に時速15km程度の渋滞にはまるようなもの。とんでもない落差だ」。Accenture StrategyのマネージングディレクターJefferson Wang氏は、そう語る。
キャリア各社は、こうした問題に対処しようと考えている。T-MobileとSprintはどちらも、周波数の低い電波を5Gに利用して、サービス範囲を広くし、4Gへの急低下をできるだけ少なくしようと計画している。
「Sprintの5G体験は、より均質なものになる」と、SprintのCTO、John Saw氏は言う。
だが、どのキャリアでも、当初は多くのエリアで5Gサービスは提供されないだろう。まして、2018年に予定されているサービスの展開では、範囲が限られる。
幸いなことに、キャリア各社は4Gネットワークも増強して高速化しつつあるので、5Gから4Gに落ちてもそれほど悪くはならないようだ。各社ともギガビットLTEという技術を導入しており、4Gの速度が大幅に向上する。サムスンの「Galaxy S8」や、まもなく米国で発売される同社の「Galaxy S9」といったモデルは、すでにギガビットLTEに対応している。
さらに気になるのは、5Gの導入で価格が変化するのかどうかだ。MWCの基調講演でSprintのClaure氏は、5Gを特別価格の有料サービスとして提供すると繰り返していた。
今のような競争の厳しい世界で、それは冒険的すぎないだろうか。だが、同様のモデルは家庭用ブロードバンドにすでに存在すると、Accenture StrategyのWang氏は指摘する。
「高速環境には料金を支払うということに、みんなもう慣れている」(Wang氏)
一方で、懐疑的な声もある。PwCのHays氏もその1人で、目に見えるメリットがまだないため、消費者は有料サービスに金を使わないと考えている。なにしろ、Netflixのドラマシリーズ「Stranger Things」をストリーミング視聴するなら、今の4Gでも十分に快適だからだ。
「5Gを発表して、さあ有料サービスをどうぞと言うだけでいいと考えているとしたら、それは多分現実が見えていないことになる」。T-MobileのRay氏はそう話す。
2018年のMWCで、筆者は1年前にGurnani氏(現在はVerizonを離れている)が言ったことについて、VerizonのVestberg氏に聞いてみた。Vestberg氏は、5G対応スマートフォンが次のMWC 2019までには登場すると予測しているという。
だが、しばらくの間を置いてから、こう付け加えるのを忘れなかった。「ただし、それは条件付きの予測だ」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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