同社は、1997年からホスティング専門事業者としてサービスを提供してきたが、Amazon EC2などの競合サービスが台頭してきたこともあり、サーバ事業に並ぶ、新たな収益の柱を作る必要があった。そこで、クラウド電話API「Twilio」やウェブサイト作成サービス「Jimdo」などを展開。ユーザー数も順調に増えているが、これらはいずれも海外発のサービスを国内で展開するものだった。
そこで、日本発のサービスを生み出したいという思いから開発されたのが、ビジュアルブログg.o.a.t(「Greatest of All Time」の略)だ。「このSNS時代になぜブログ?」と思われるかもしれないが、近況や思ったことをライトに共有するだけならSNSで十分だが、自身の考えや感じたことを丁寧かつ正確に発信するにはブログの方が向いていると高畑氏は話す。
また、クラウド電話APIのTwilioはサービス内容が理解されるまでに時間がかかったが、ウェブサイト作成サービスのJimdoは比較的早くユーザーに受け入れられたという。こうした経験から、「世の中に全くない概念を広げるには時間や労力がかかる」と考え、あえて消費者が慣れ親しんだ「ブログ」という表現を選んだと説明する。
ビジュアルを中心にしたことにも理由がある。前述したように、画像SNSなどが支持を集めていることも背景にはあるが、それ以上に写真や動画を前面に出すことで、より“ポジティブな情報”が発信されやすい場になると考えているからだ。書き手が自分の伝えたいこと、表現したいことを自由に発信できるように、あえてブログでは一般的な読者のコメント機能も搭載していない。
「従来のテキスト中心のコミュニケーションでは、真っ白な画面の上に書き込むため、時には内容が過激になり、批判やネガティブなものになることもあった。一方、ビジュアル中心のInstagramなどは、ある種“自慢する場”にもなっているが、批判などは起こりにくい文化がある」(高畑氏)。これをブログでも実現しようとしているのがg.o.a.tなのだという。
ブログの美しさを優先し、広告を一切表示しないこともg.o.a.tの特徴だ。現在は完全無料でサービスを提供しており、今後はさまざまな機能を数百円からの都度課金で購入できるようにする予定。また、当面はユーザーを増やすことに注力するが、「note」のようにユーザーが読者に対して課金できる機能なども検討するという。
7月27日にサービスを開始したばかりということもあり、ユーザー数は非公開だが、急速に伸びていると高畑氏。書き手は、ミュージシャン、アーティスト、エコノミスト、IT関係者、医者など幅広いそうだ。また、当然ながらカメラ好きのユーザーが多く、記事の末尾にカメラやレンズの情報を記載する人もいるという。そこで、9月14日には、写真の撮影情報(カメラ、レンズ、焦点距離、f値、露出時間、ISO感度)を自動的に取得し、表示する機能を搭載した。
今後は海外展開も積極的に進める。もともとグローバル展開を念頭に置いて作られたサービスであるため、当初から日本語と英語に対応していたが、新たにグローバル担当も採用し、本格的にマーケティングを開始する準備をしているという。同社は、Twilioで米国に、Jimdoでドイツにネットワークがあるため、それぞれの拠点と連携しながら、まずは英語圏にサービスを展開したい考えだ。そして、将来的には海外のユーザー比率を全体の7割程度まで上げたいとしている。
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