crewwは、スタートアップ企業に必要な「ヒト」「モノ」「カネ」「チャンス」が見つかるプラットフォームだと伊地知氏は話す。従来のスタートアップ支援では、ベンチャーキャピタル(VC)が、これらを一元的に提供することが多かったが、「お金とアドバイスだけでも得意な人はそれぞれ違う」(伊地知氏)ことから、必要なものを必要な相手から得られる、合理的なプラットフォームを構築しているという。
メイン事業であるコラボでは、参画する大企業が「新規事業の立ち上げ」「販促活動」「投資先の募集」などの課題を投げかけ、そのテーマに対してスタートアップが提案。その後、ブラッシュアップを重ねながら、3カ月かけてアイデアを形にしていく。この際に伊地知氏が最も注意していることがある。それは「スタートアップは大企業の経営課題を解決するために存在しているわけではないため、絶対に下請けにはさせない」(伊地知氏)ということ。
大企業には事前にそのことを繰り返し伝え、了承した企業のみがプログラムに参加できるようにしている。もちろん文化が全く違うため衝突することもあるが、伊地知氏らによる運営チームが、プログラム期間中も大企業側にスタートアップについて説明したり、双方のコミュニケーションを円滑にしたりすることで、「どんどん大企業のマインドが変わっていく。実はスタートアップという概念を知らないだけで、必ず理解するタイミングがくる」(伊地知氏)という。
コラボの事例として、最近は保険や銀行などの金融企業のほか、IoT領域でのコラボも増えているそうだ。少人数のIoTスタートアップは端末やアプリは開発できるが、そこから得た膨大なデータの解析ノウハウやリソースを持っていない。そこでデータ解析に長けた大企業と組むことで、数年かかるかもしれなかった作業を大幅に短縮できることもある。
スタートアップが大企業に期待するのは顧客基盤や販売網だけではない。それは消費者向けの施設や、足を運ばなければ分からないリアルな情報などだ。たとえば、住宅会社がもつ住宅展示場は平日はほとんど人が来ないため、スタートアップが一部を借りることは可能だろう。また、飲料メーカーは全国に自動販売機を設置するために、日本中の空きスペースを探しており、シェアリングエコノミー事業者とは相性が良さそうだ。
「(大企業とスタートアップの)両者に実利を提供することに、とことんこだわっていて、それによりマッチングがうまくいっている。よくハッカソンなどが開催されるが、大企業のCSRの一環になってしまっているものもあり、ビジネスにつながらないこともある。やはり、お互いにとってメリットなければいけない」(伊地知氏)。
今後は、自身が海外で起業してきた経験を生かして、日本の大企業が海外からアイデアを募るなど、日本と海外の企業のクロスボーダーのコラボを実現していきたいという。「これまでにも、オーストリア大使館などから日本の企業に会わせて欲しいという依頼がきている。僕らのプラットフォームを通じて、できることをもっと打ち出していきたい」(伊地知氏)。
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