起業家に必要なものは“全部”ある--量産に特化した「オプトインキュベート」始動 - (page 2)

地に足つけて、着実に登る

 実は両社は2014年12月から、共同で事業を量産する体制を作ってきたのだという。長野氏が同年10月頃からベンチャー企業のコンサルティングをしていることを知った野内氏が、オプトでのインキュベーション事業への協力を打診。長野氏がこれに応え、プロジェクトが順調に回り始めたことからオプトインキュベートの設立を2月に決めた。

 「オプトでは事業開発の仕組みを作りたいと思い、2年前に社内にインキュベーション本部を立ち上げたが、なかなか答えが見つからなかった。我々は、ある程度形がある会社に対して支援するスタイルを得意としているが、ゼロからの立ち上げは何度もチャレンジしたが難しかった。そこで長野氏と出会い、彼のスピード感や正確性、何より目指している世界観が非常に近かったので、ご一緒させていただきたいと思った」(野内氏)。

 オプトインキュベートでは、オプトが持つデジタルマーケティング領域のアセットと、長野氏のロケットインターネットで培った経験を生かして、既存の価値観と市場をディスラプト(破壊/変革)する新規事業の量産を目指す。注力する領域は「シェアリングエコノミー」「ダイレクトトレーディング」「ディスラプトテクノロジー」の3つ。特に市場が顕在化し始めたシェアリングエコノミー領域の事業を増やしたい考えだ。


 「オプトはインターネット広告で急成長した会社。ネット広告が起こした革命は、“枠”を押さえるという既存の広告ビジネスを壊したことだ。では、次に起こる波は何か。すでにFacebookやTwitterによって情報革命は起き始めているが、米国ではUberやAirbnbなど、リアルなビジネスをネットに乗せるシェアリングエコノミーによって、イノベーションが起き始めている。投資だと少し遅いかもしれないが、事業参入はまさにいまのタイミング」(野内氏)。

 すでにいくつかのプロジェクトが走りだしている。まず4月末にローンチ予定なのが、自宅などで料理を作ってもらえる出張シェフサービス「PRIME CHEF」。新規参入の意思決定から3カ月でローンチまでこぎつけた。シェフの獲得数をKPIとしており、競合サービスの「MyChef(マイシェフ)」と比較して同等のレベルになっているという。

 また、2月から社内起業家の育成プログラムの開発・運営も進めており、元マッキンゼーやP&Gの担当者を講師に招いて指導している。この中から1社が採択されており、7月末頃に、スポーツ領域でのシェアリングエコノミー事業を開始する予定だ。


 同社では、これらの戦略で事業開発数、雇用数、企業価値の3つを最大化し、5年以内にアジアナンバーワンのインキュベーターを目指す。「僕は起業家だったのでシード期に必要なものが分かる、それを全部ゼロから提供する。とにかく地に足をつけるための支援基盤をしっかりと作りたい。地味かもしれないが、一歩一歩、着実に登っていけるインキュベーターを確立したい」(長野氏)。

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