ディスプレイに見る2014年Appleの進化--iMac Retina 5Kディスプレイモデル - (page 2)

iMac Retina 5Kディスプレイモデルとは

 今回対峙するのは、最新の27インチディスプレイを備えるiMacだ。箱から取り出してセットアップしてみると、これまでのiMacとなんら変わらない、見慣れたディスプレイ一体型のデスクトップコンピュータだ。

大きなディスプレイは作業だけでなく複数の人で見る利用シーンも考えられる。視野角の広さと、斜めからのでも色の変化がほとんどないディスプレイは、自宅やオフィスの中心的な存在としても活用できるだろう
大きなディスプレイは作業だけでなく複数の人で見る利用シーンも考えられる。視野角の広さと、斜めからのでも色の変化がほとんどないディスプレイは、自宅やオフィスの中心的な存在としても活用できるだろう

 「見慣れた」と気軽に言うにはいささか気が引けるほど、未だに尖ったデザインの持ち主でもある。正面から見ると、ディスプレイが浮いているように見える。角度によっては、5mmという非常に薄いエッジしか見えない、限りなくミニマルな存在だ。 標準で3.5GHzクアッドコアIntel Core i5プロセッサを搭載し、オプションでは4.0GHzクアッドコアIntel Core i7に変更可能。メモリは8Gバイトを標準搭載し、16Gバイト、32Gバイトと増やすことができる。

 ディスプレイはまるで異なる。サイズこそ同じだが、画素数はこれまでの4倍、5120×2880ピクセル。Appleはこの恐ろしく広いディスプレイに「Retina 5Kディスプレイ」と名付けた。これに組み合わせるのは、AMD Radeon R9 M290Xグラフィックプロセッサ。そして新たに開発されたタイミングコントローラは、膨大に増えた画素を正確に指示する。その帯域幅は実に40Gbpsだ。

 正直なところ、異例のディスプレイを搭載するための、異例のパフォーマンスを組み合わせたのが、このiMacということになる。

5Kを表示するためのこだわり

 新しいiMacの5Kディスプレイは、Appleのディスプレイへのこだわりを存分に感じさせる仕様となっている。前述のタイミングコントローラーもさることながら、パネルそのものも1.4mmと非常に薄く作られている。また、30%電力消費を抑え、熱暴走を避けるLEDバックライトも採用された。ここから先は、少し馴染みのある言葉が出てくる。

 1つ目は「光配向」。TFTフィルムコーティングとカラーフィルタ全体を、紫外線照射によって均一に整えるため、正確な位置に配置されると、Appleのウェブサイトでは説明している。これによって、正面からのコントラストをより高めることができた。この技術は、iPhone6/iPhone 6 Plusにも採用された技術だ。

 2つ目は「有機パッシベーション」。こちらはiPad Retinaディスプレイモデルから採用されている、各ピクセルに明確に情報を伝えるためのいわば混信あるいは干渉防止の仕組みだ。

 このように、iPhoneやiPadのRetinaディスプレイパネルで採用した技術を、iMacをRetina化する際のパネルに活用していることが分かる。これらに加えて、視野角によるコントラストの変化を防ぐ補償フィルムや、色補正も行っている。

 iMacについてはRetina 5Kディスプレイモデルになってもデザインは変わらなかった。デザインが変わらなかったことに対して、新鮮みに賭けると考える人もいるかも知れない。しかし、次に紹介するディスプレイの表示を見ると、むしろデザインを変えずによく搭載したものだ、と驚きに変わるのだ。

ディスプレイ時代の象徴となる1台

今回、ディスプレイの大幅な機能向上がありながら、エッジ部分5mmというこれまで通りの尖ったデザインを保持した
今回、ディスプレイの大幅な機能向上がありながら、エッジ部分5mmというこれまで通りの尖ったデザインを保持した

 スマートフォンやタブレットは小型液晶の進化を早めている。より小さく、薄くする必要があり、低消費電力にも気遣わなければならない。同時に、端末の前面のデザインはすべてディスプレイであるため、顔というよりはそれがすべてと言っていいほど、ディスプレイの重要性は高い。

 Appleは2010年に発売したiPhone 4からRetinaディスプレイを採用した。その後iPod touch、iPadを搭載し、そして2012年にMacBook Pro Retinaディスプレイモデルを登場させ、15インチ、13インチのMacがRetina化した。高精細・高コントラスト、広視野角という特徴を備え、進化が一段落したかに見えたが、2014年は再び、第二世代のRetinaディスプレイの進化が到来した。iPhone 6、iPhone 6 Plusには「Retina HDディスプレイ」を搭載し、それぞれ720p以上、1080p対応というHDディスプレイとしての解像度を手に入れた。

 しかし筆者はそれ以上に、まるで光沢のあるステッカーを貼り付けたのかと勘違いするような、ディスプレイの表示がギリギリまで浮き出てくるような高いコントラストと発色に驚かされた。コンテンツに直接触る感覚とも言える新しく薄いディスプレイは、iPad Air 2にも採用されている。

 モバイルがディスプレイの進化を推し進めてきたが、こうした品質をiMacが手に入れ、第2のディスプレイ革命期を迎えた2014年のAppleを象徴する1台に仕上がった。今後期待されるのは、フルラインアップのRetina化だ。11インチ、13インチのMacBook Air、そして21.5インチのiMacのRetinaディスプレイ搭載によって、ディスプレイを持つAppleのデバイスラインアップ全体がRetinaディスプレイを備えるようになる。

画面上部と背面にデュアルマイクが搭載されている
画面上部と背面にデュアルマイクが搭載されている

 特に今回のiMac Retina 5Kディスプレイモデルの弟分となる21.5インチのiMacは、ディスプレイのサイズを変えずにRetina化すると、3840×2160ピクセルとなり、ちょうどウルトラハイビジョン、いわゆる4Kテレビの解像度とぴったり一致する。27インチがRetina 5Kディスプレイなら、21インチはRetina 4Kディスプレイと名付けるのだろうか。今回のRetina 5Kディスプレイモデルは、同サイズの4Kディスプレイよりも安い価格をウリにしているが、21.5インチも低価格で登場することが考えられ、よりいっそうの普及に期待が持てる。

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