ソフトバンク決算、純利益は37%増--孫氏が注目する次の“金のたまご”はインド - (page 2)

 孫氏の見立てはこうだ。「13億人の人口のうち、25歳未満の人口が約5割。学校教育のほとんどが英語。世界最大の英語圏は、もうじき米国を抜いてインドになると認識。若い人は英語を話す。ソフトウェアエンジニアが世界最大。この3つの要素が中国のファンダメンタル(経済の基礎的条件)よりも強い」と説明した。

 インドでは、オンラインマーケットプレイス「snapdeal」に6.27億ドルを投じ、筆頭株主になった。2014年10月には取扱高が21億ドルになるなど急成長している。ほかにもクルマの配車サービスプラットフォーム「OLA」に2.1億ドル、インドネシアでナンバーワンのeコマース「tokopedia」に1億ドルを投じるなど、新たな“仕込み”も忘れていない。

世界の2大経済圏は中国とインドになると見る
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童話のストーリー
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 孫氏は「Some of the Parts。ソフトバンクが持っている資産一つ一つが金のたまごと思い描いていただきたい。通常、アナリストやジャーナリストはその会社の価値を計算するとき、その会社が持っている金のたまごの数を数え、合計でその価値を判断する。今日現在のソフトバンクの市場価値は、われわれが持っている金のたまご以下の時価総額。借り入れの分を差し引かなければならないが、おおむねそのような形」と不満をあらわにした。

 一方で「今後も新たに投資をしていく。ソフトバンクはガチョウとして、新たな金のたまごをおなかのなかに仕込んでいる最中。マーケットに出せるほどの金のたまごとして外に産み落としてはいないが、お腹の中で金のたまごを仕込んでいる。金のたまご以上に重要な価値があるのはガチョウであると私は思う」とアピールする。

投資家として知られるウォーレン・バフェット氏を例に出し、Some of the Partsの「プレミアム」を狙うとした
投資家として知られるウォーレン・バフェット氏を例に出し、Some of the Partsの「プレミアム」を狙うという

 「金のたまごの合計よりもソフトバンクの価値がなぜ少ないのか。ソフトバンクの孫はまたクレイジーな買い物をするのではないか。いままではラッキーでいくつか金のたまごを持っているけれども、もしかしたら価値を破壊するような買い物をするかもしれない。そういうディスカウントが市場のメカニズムとして働いているのではないか。“孫正義ディスカウント”が働いているのはそれはそれで正しい。でも、ディスカウントではなく金のたまごを産んでくれるガチョウかもしれないというふうになれば、変わるかもしれない」と語った。

「金のたまごより、たまごを産み続けるガチョウに価値がある」と孫氏
「金のたまごより、たまごを産み続けるガチョウに価値がある」と孫氏

 なお、Sprintも米国時間11月3日、決算を発表しているが、約2000人の人員削減を明らかにするなど厳しい状態が続いている。しかし、8月からスタートしたブライトスターでCEOを務めたマルセロ・クラウレ氏による新体制により、MNPの純増率が上がるなど反転攻勢になっていると説明する。

 「今までは、支払い実績の悪い客を無理して取っているという状態だったが、単純に客を増やすのではなく、審査を厳しくするようにしている。目先を追うのではなく、中長期に変えた。目先の利益よりも、良い客を増やす。利益の伸び率が少し減ってもそのほうがベターである」と語った。

8月よりSprintは新体制に
8月よりSprintは新体制に

 「趣味のようにしてやってきたインターネット投資で、ソフトバンクの時価総額を上回るリターンを得た。ソフトバンクの本業は何なのかと問われるが、あくまで情報革命の会社」と説明する。

 同社の企業理念である「情報革命で人々を幸せに」というビジョンを掲げ、「革命は一人ではできないし、一夜でもできない。志とビジョンをともにするいろいろな会社と一緒でもいいではないか。100%1つの会社でやる必要はないというのが私のモノの考え方。単独ではなく、同じ志、同じ理念、同じビジョンをもった仲間と行っていく。お金を儲けるための会社ではない。しかし情報革命をやりながら、多くの株主に金の価値のたまごを増やしたい」とし、軸はぶれていないことを強調した。

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