現実的なクルマ社会の進化が集結--東京モーターショーの注目点 - (page 3)

電気自動車の事故--感電への対策も

  • 衝突試験を行った日産リーフ

 一方、電気自動車やハイブリッドカーが普及すると、あまり考えたくはないがさまざまな問題が起こってくる。たとえば交通事故だ。

 電気自動車や走行用バッテリを積むハイブリッド車が追突事故を起こした場合、高い電圧のバッテリが露出すれば感電の恐れがある。自動車のボディは金属なので、バッテリの電気接点がボディに触れてしまえばさらに問題が広がる危険性がある。また、運転者が感電しなかったとしても、ボディの外側に電気が流れ、救急隊が感電したり感電を恐れるために救助が遅れるという可能性もある。

  • リーフの感電を防ぐ仕組み

 自動車アセスメントの展示をしている独立行政法人 自動車事故対策機構(JNCAP)は、今回、電気自動車の日産リーフの衝突試験車の展示を行った。リーフはバッテリやモーターには絶縁構造をとり、高電圧がかかる部分は骨格の内側としている。さらに万一の際には高電圧システムを遮断する構造を採用している。そのため、展示車はフロントが大破しているが、バッテリや高圧配線の露出は見られなかった。

  • 衝突時に感電の恐れがないか調べる測定器

 試験の基準についても電気自動車の普及にともなって変化しており、2007年に衝突時の感電防止要件が基準化され2012年7月1日から適用されるが、JNCAPでも衝突試験のほかに感電保護機能を評価し、公表することを発表した。感電防止要件では感電保護性能のほか、バッテリの液漏れや固定状況、回路の遮断などを定めている。2013年までは室内のみを評価するが、それ以降は室外の評価も行う。

 JNCAPのブースでは評価で仕様する測定器も展示され、電気自動車の万一にも対応が進められてる様子がわかるようになっている。

従来のエンジンの頑張りも見逃せない

  • 「SKYACTIV TECHNOLOGY」を搭載するマツダ・デミオ

 電気自動車やハイブリッドカーが広がりを見せる中で、通常のエンジンをベースに新技術を投入して燃費改善を訴求するメーカーもその手を休めていない。

 「SKYACTIV TECHNOLOGY」を掲げて低燃費化を進めるマツダは、2011年に登場した小型車「デミオ」にて「10・15モード(燃費測定方法)」で30.0km/Lの燃費を実現した。ただし、現在の燃費測定法は空調を考慮しないなど現実に即していない部分もあり、この燃費で維持できることはまずないが、デミオの燃費の評判も上々だ。

  • 安くて低燃費の軽自動車、ダイハツ・ミラ イース

 何よりも通常のエンジン技術をベースとしているため、低価格車まで恩恵を受けられるのが特長。マツダでは今後も「SKYACTIV TECHNOLOGY」を進めて8割以上のクルマに搭載するとしている。低価格車まで搭載を広げることが難しいハイブリッド車よりも、世界全体で見れば貢献度は高いはずだ。

 軽自動車でもダイハツの「ミラ イース」の登場からさらなる低燃費競争が始まっている。軽自動車は車重が軽いために道路も傷めにくいので、社会全体の低燃費にも貢献するだろう。

新技術も従来技術の発展のどちらも注目

 東京モーターショー2011は、電気自動車やハイブリッドカーの展示だけでなく、その周辺技術にも目を配っていくと面白い。一方で通常のエンジンも新技術によって燃費改良が進んでいる。

 エンジンで走らないクルマはクルマではないと頑なに思っている人も、これからの時代は電気自動車だと思っている人も、ぜひ来場して展示を隅々まで見てもらい、自動車の進化を感じてほしい。

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