ソフトウェアは、どのような点を意識して開発を進めたのだろうか。小林氏は「もっとインターフェースが作り込まれているスマートフォンもあるが、われわれはAndroidらしいオープンさを残すようにした」と語る。
「たとえば、T-01Cのホーム画面は標準ではNX! UIを搭載している。だがそれが必ずしも正解とは限らないし、Androidマーケットに行けば世界中から、さまざまなホーム画面アプリケーションが提供されている。知識のある人がそうしたアプリケーションを使う際に、障害にならないよう設計した。Androidは開発者がいてこそのプラットフォームであり、そこは強く意識している」(小林氏)とのこと。一般層向けの使いやすさを意識しながらも、パワーユーザー向けにアプリケーションのオープン性を生かすことを重視しているとした。
では、スマートフォンユーザーの関心が高い、OSのバージョンとバージョンアップについてはどのように考えているのだろうか。これについて小林氏は、「現在はまだ過渡期のためバージョンアップが頻繁に実施されている。最終的にいつかは落ち着くことになると思うが、現在のところは欠かせないだろう」と話した。
T-01Cは、春にAndroid 2.2へのバージョンアップを表明している。「フルバージョンのFlashの利用やPCとの連携、速度の向上が期待できるのに加え、他社のスマートフォンがAndroid 2.2を搭載してきており、Android 2.2の搭載が当たり前という雰囲気も出てきている。初めてAndroidにチャレンジしたことから遅れ気味ではあるが、他社との差を詰めるためにも、なるべく早く実現させたい」(小林氏)。
では、今後についてはどうだろうか。藤森氏によると、「今後はスマートフォンの更なる普及のため、女性をはじめとした、幅広いお客様に使ってもらえるさまざまなバリエーションを投入したい。また、T-01CのAndroid 2.2への対応はできるだけ素早く進めたい」とした。
富士通と東芝は、2010年10月1日付けで、富士通傘下の新会社、富士通東芝モバイルコミュニケーションズを発足した。T-01Cは富士通東芝モバイルコミュニケーションズ製だが、大部分は東芝の時代に開発されていたものだ。
東芝は、2年前に発売したWindows Mobile搭載のスマートフォン「docomo PRO series T-01A」で、T-01Cにも搭載されているクアルコムのチップセット「Snapdragon」を世界で初めて搭載した。今回のT-01Cの開発にあたり、「今回の機種でもいろいろと苦労しているが、2年前に作ったときのクアルコムのチップセットを使いこなした積み上げがあってこそ。当時はかなり苦労した」(吉崎氏)とし、T-01CはT-01Aからのノウハウを生かした結果だと語った。
今回は、富士通の携帯電話の開発ノウハウをもとに、性能のチューニングや評価などで協力を得たという。今後については、「すでに商品企画などについては、先行して共同化を進めている」(藤森氏)と明かす。
ソフトウェアの面では、「世界中、どの開発者でも考えは変わらないと感じている。携帯電話で培ったよい面を補完していきながら、商品力のある製品を開発していきたい」(小林氏)と語った。
東芝時代に進めていた、海外への展開についてはどうだろうか。これについて藤森氏は「まずは国内のスマートフォン市場で土台をしっかり作ることが重要だ。富士通はセンサ技術に、東芝はネットワーク技術に強みを持つ。こうしたお互いの強みをうまく融合し、生かした製品づくりに取り組みたい」と意気込みを見せた。
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