ソフトバンクアカデミアに入校できるのは、ソフトバンクグループの社内から270人、社外からは30人。一般公募のプロセスは、ウェブサイトから8月20日までに入校の意思表示をする「登録」をし、その後8月31日までに必要情報を入力して「応募」する。さらに「一次予選」「二次予選」を行い、さらに孫正義氏による「最終審査」を経て入校できる。予選はいずれもプレゼンテーションで、テーマや表現方法は「自由」という。
入校は2011年4月で、合格者は水曜日の18時から1カ月に1〜2回行われる講義に出席する必要がある。受講費用は無料だ。
グループ内部と外部の比率は、徐々に変わってくるだろうと言う。「外の人で優秀な人がいれば、その比率は増えていく。半年に1回ずつ入れ替え戦がある。下の10%は自動的にアウト。誰が決めるのか。生徒がお互いに相互に点を付けるのが基本になる」と語った。
「誰にでも、何度でもチャンスはある」と孫氏は言う。「外部からチャレンジしたいという人に負けないようにがんばってほしいし、いずれ仲間になって大きな志を達成するためには小さな器ではいけない。補欠の人、1回入校したが入れ替えで退学になった人、何度でも再チャレンジできる。落胆しないように。人生入れ替え戦があって当たり前。そんな試練に耐えられないようであれば、そもそもアカデミア生徒に適していない」と斬り捨てた。
後継者は、平均10年にわたって活動するという。後継者に選ばれた場合、「(売り上げを)10年で平均5倍ぐらい伸ばす。そういう腹のくくれない人はダメ。ストックオプションを100億円ぐらいは渡したい。5倍にすれば500億になる。その自信のない人は後継者になってもらっては困る。10年で5倍するには、なにを成すべきか。今日からソフトバンクの社長だと思え。今日からどうすれば5倍になるか考え続けよ」と受講生に発破をかけた。
どうすれば5倍にできるかは、講義開始後に真っ先に出る宿題だという。
「どんな手を使って、何をするか。具体的なビジョン、戦略、事業ドメイン、資金、技術など、具体的なプレゼンをしてもらう。答えられない人間はそもそもリーダーになってもらっては困る。部下が困る。志高く、がんばりましょう」と締めくくり、会場は大きな長い拍手に包まれた。
講義を終えて、記者団から感想を求められた孫氏は「皆、後継者になる可能性はある。これからどれだけ自分を磨いて、器が大きくなっていくかだ。本当に真剣に聞いてくれて、目が生きている。嬉しかった」と笑顔を見せた。
このソフトバンクアカデミアの構想は、19歳のときに生まれたもの。孫氏は、19歳の創業時から60代で経営のバトンを渡すと決めており、仕組みを作って、構造的にバトンを渡せるようにしたかったのだという。
後継者となるリーダーに求めるものを1つだけ挙げるとすれば、「高い志」という。また、後継者を見つける自信を問われ、「僕も若いときは、なにも経験がなかった。潜在的可能性は誰にでもあると思う。今日は志願した人全員が集まってきた。勇気と決意があれば、誰にでもチャンスがあると思う。僕の直接の後継者にならなくても、グループ会社は800ある。すでに800人は社長のチャンスがあるということ。がんばればがんばっただけ、チャンスがある。半年から1年で決めるようなことではない」とし、じっくりと時間をかけて後継者を育てる考えを示した。
一方で、経営者を育成する人材養成機関としては、松下幸之助氏による「松下政経塾」がある。これについて、「松下幸之助さんは大変立派な方で、尊敬している。(松下政経塾は)政治と経済と両方にらみ、世の中全体のことを考えたものだが、僕がやりたいのは、ソフトバンクグループの300年を本気で成長させたいということ。松下さんのほうがより高い次元の塾。ソフトバンクアカデミアは、現実的なわれわれの中のもの」とコメントし、政界を意識したものではないとした。
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