Jobs氏は、従来型のコンピュータを必要とする人がわずか数人に1人になる日はもうすぐだと述べ、PCはトラックのようだとすれば、iPadなどのデバイスは乗用車にあたるとした。「例えば、この国が農業国だったころは、車はすべてトラックだった。農場で必要なものだったからだ」と同氏は言う。しかしJobs氏によれば、都市部が広がったことで、積載容量よりもパワーステアリングやオートマチックトランスミッションなどが重視されるようになったという。Jobs氏は「PCはトラックのようなものになるだろう」と述べる。同氏は「PCはすぐにはなくならない」と考えるが、「PCを必要とする人は何人かに1人」だけになるとしている。
Jobs氏の見解が部分的にでも正しいとすれば、それが示唆しているのは、Microsoftがウルトラモバイルのビジネスに復帰するためには、Windows 7ベースのタブレットを開発するようハードウェアメーカーを説得するだけでは不十分だということだ。
Windows 7でマルチタッチのネイティブサポートを追加したことは、第一歩としては良かったが、バッテリ寿命の課題や、いまだWindowsに内在する複雑性の問題に対処したわけではない。
もう1つの選択肢は、本格的なWindows以外のもので市場にアプローチすることだろう。しかしMicrosoftはここでもハードルに直面する。同社には、コンシューマー向けタブレットに適している可能性がある製品がほかにあるが、そのそれぞれが大きな欠点を抱えている。
COMPUTEXにおいて、MicrosoftはWindows CEのあるバージョンを搭載したASUS製品のプロトタイプを公開した。このすっきりした次期OSでは、より高性能のブラウザが使用でき、Adobeの「Flash」をサポートするとはいえ、Windows CEは完全にカスタマイズ可能なOSとして販売されている。これは、デバイスメーカーにとっては自由度が高くなることを意味するが、同時に、あるデバイスメーカーが開発したタブレット上では、ほかのメーカー向けに開発されたソフトウェアが使えない可能性が高いということでもある。
今後発売予定の「Windows Phone 7」というOSもあるが、このOSはまだごく初期段階にあり、ホリデーシーズンの発売に合わせて、携帯電話上でうまく動くようにするだけでも、同社にはやらなければいけないことがたくさんある。
iPadの登場に対応しようとしているMicrosoftは、以上のようなことから、興味深い立場に置かれている。もう1つ興味深い疑問がある。Microsoftは今後もタブレットでは、ソフトウェアのみでのアプローチを追求していくのだろうか。それともいずれ独自のデバイスを開発する可能性があるのだろうか。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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