[レビュー]トップクラスの実力を探る--オーディオテクニカのノイズキャンセリングヘッドホン「ATH-ANC3」 - (page 2)

堀江大輔(D☆FUNK)2008年03月31日 18時35分
オーディオテクニカ
内容:昨年に引き続き通勤・通学に欠かせないアイテムとして注目を集めているノイズキャンセリングヘッドホン。昨年が市場の開拓的な役割を果たしたとすれば、今年はデザイン、機能、使い勝手などが洗練され、より自分好みのモデルが出揃った年と言えるだろう。人気のカナル型ノイズキャンセリングを登場させたオーディオテクニカの最新モデルの実力は?

中低音重視のハードロックには特に映える音質

 それでは、試聴に移る。イヤーパットの遮音性能は高い。少し大きめのLサイズを使用すると、音は完全にシャットアウトされる。最初に、ノイズキャンセリングの性能を試すため、地下鉄に乗車しながら使用してみた。

  • イヤーピース(S/M/L)×各サイズ1ペアを用意。サイズを合わせることで装着感や再生音が変わってくる

 電車がホームやってくるときの、高い音に対してはあまりノイズキャンセル効果は働かない。通常のカナルと、あまり差はないように思える。もっとも、ここでノイズキャンセルが効き過ぎても、事故につながるので、このくらいの方がいいのだろう。

 電車に乗りながら音楽を試聴する。電車に乗っているときに、常に鳴っている「ゴー」という低音は、キレイにカットされている。通常、電車に乗って、音楽を聴くときの音量の半分程度でも、楽器の音を聞き分けられるくらいに外部の音はカット力は高い。

 ただ、高い音域や繁華街での足音などはよく拾う。新宿の地下街で使ってみたのだが、周囲の人の足音だけが普通に聞こえてくるのだ。高域の音はある程度、音量を上げればマスキングされるので、普通に音楽を聴く分には気にはならなかった。

  • 外部の音を聞く場合は「モニタボタン」を使う。ボタンが押されているときは、ノイズキャンセル効果がなくなり、再生音がミュートされる

 モニタスイッチも試した。ボタンを押している間だけ、ノイズキャンセル効果がなくなり、再生音もストップする。ただ、カナル型なので元々外部の音は聞き取りにくい。

 続いては、ヘッドホンの音質を確認していこう。まずは、軽めのライトポップスでジャック・ジョンソンの新譜「SLEEP THROUGH THE STATIC」からの「If I Had Eyes」を聴いた。

 ヘッドホンの音の情報量は比較的多い。ジャック・ジョンソンのメインボーカルが2本被せているのもよくわかる。ステレオ感が高く、左右への分離感がよく出ている。音場も左右に広い。だた、バスドラとペースが強く出過ぎ、不自然にふくらんでしまう。まとまって聴きやすい音だが、もう少しだけキリっとして欲しい。ただ、少し音量を絞り気味で聴くとバランスがよくなったので、通勤電車用と考えればいいのかもしれない。

 続いて、クラッシックは千住真理子のアルバム「Air」からバイオリン協奏曲の「Furinkazan Taiga Ryuryu」。 バイオリンの音色は厚みをもって前に出す。少し出過ぎの低音域も、クラッシック、交響曲だと、重厚長大な感じになって悪くない。オーケストラの弦楽器が横方向にキレイにひろがってゆくのは気持ちよい。それぞの楽器の分離感はあまりないが、音のコントラストが強めに出る、音楽の抑揚感はしっかりと出してくれる。

 ジャズはハービー・ハンコックの「リヴァー〜ジョニ・ミッチェルへのオマージュ」から「River」を聴く。やっぱり情報量は多いようだ。ドラムスのブラッシングの音もこもらず出るし、ウッドベースの箱鳴りも聴かせる。ちょっと全体にこもった感じになるところはあるのだが、それがまろやかさで、心地よい音にさせてもいる。ただし、分離感はいまいひとつといった印象。どの音もよく聞こえるけれど渾然一体となってしまっている。もう少しボーカルがキリっと立って欲しいところだ。

 最後にハードロックをチェック。レッド・ツェッペリンのベストアルバム「MOTHERSHIP/マザーシップ〜レッド・ツェッペリン・ベスト」から「Black Dog」を試聴。これはかなりいい。センターの奥底から立ち上がってくるボーカル。重厚なドラムのバスドラ、ベースの重厚なリフが迫ってくる。中低音重視のハードロックにはいいようだ。情報量もとても豊富。ボーカルにからむコーラスが響き、移動感もよくでてくる。

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