大手コンピュータハードメーカーが顧客に金融サービスを提供することは何ら真新しいことではない。しかし、あいにく、そのようなベンダー金融プログラムが原因で困難に陥ることも同じくらいよくあることだ。
Barron's Onlineに掲載されているAppleと特許に関する記事のなかで、Dellに関する興味深い話が取り上げられていた。Dellは決してラスベガス郊外の住宅街など、窮地に陥っている不動産市場向けにローンを貸していたわけではない。どうやら、これは間接的に被った損害らしい。どうやら、これは間接的に被った損害らしい。Dellは、問題を抱える金融会社CIT Groupと提携関係にあったために、いつの間にかサブプライム問題に巻き込まれていたようだ。かつてCITは、11年ほど前に小規模企業にリースプログラムを提供する目的で設立されたDell Financial Servicesの株式の30%を保有していた。Dellは2年ほど前にCITとの提携関係の解消に向け動き出し、2007年第4四半期に株式の買い戻しを完了した。
CITの問題がDellにどの程度影響を及ぼすかは何とも言えない。以下の数字を見ても判断は難しい。Dellは第4四半期末に、バランスシート上に21億ドル分の売掛金を記載していた。Dellの広報担当者によると、そのうち4億5000万ドル分はCITを通じて集められたという。またDellは100億ドルの現金も保有していた。Barron'sの報道によると、Dellの2008年の総売り上げのおよそ9%は、Dell Financial Servicesからの売り上げだったが、その9%のうちCIT関連は過去数年に比べ少なかったはずだという。
サブプライムローンの焦げ付き(および、その他の問題)で大打撃を被っているCITが今後も低迷を続ければ、Dellはその4億5000万ドル全額を失うことになるのか。そんなことはない。しかし、少なくともその一部は危険にさらされることになるだろう。たしかに、これはDellにとっては悩みの種だが、その後遺症は、同社が過去数年間に直面してきた問題、例えばノートPCの発火問題の影響などに比べれば小さいだろう。Dellの広報担当によると、現在同社はCITの状況を見極めている最中だが(両社は依然として提携関係にある)、対応策についての最終決断は下していないという。
CITの今後の見通しは暗い。ウォールストリートの一部のアナリストは同社に対し、General Electricの金融部門のような、より規模の大きな金融企業に身売りするよう求めている。Wall Street Journalは24日付けの記事で、高い評価を得ていたCITが現在直面する苦境の解説記事を掲載している。
それほどリスクが高いにも関わらず、コンピュータ会社はなぜ金融サービスを提供するのか。それは、特に小規模企業に機器を販売する場合は、そうせざるをえないからだ。しかし、顧客への融資にはリスクが伴う。例えば、企業幹部の中には、帳簿をごまかそうという誘惑に駆られる企業幹部もいるかもしれない。また、顧客企業が倒産したり、融資が焦げ付いたりした場合、Dellが貧乏くじを引く破目になりかねない。
果たしてDellは、4億5000万ドル分の貧乏くじを引く破目になるのか。いや、その可能性は低い。また現時点では、CIT関連の正確な被害額を弾き出すのは困難だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス