VIVA!帰ってきたHP電卓--米国HP社「HP35S」 - (page 2)

ヒューレット・パッカード
HP35S
内容:PCやプリンタなどで知られるヒューレット・パッカード社(HP)。以前は電卓メーカーとしても有名だったのである。一部の金融系電卓においては、今でも圧倒的なシェアを持ち、特定機種だけはまだ続けているとのこと。なんと、科学技術計算向けのプログラム電卓の新製品が登場したのである。

今風HP電卓とは?

  • 愛用のHP32SIIと並べてみた。サイズは少し大きくなっている

 ところでHPの電卓にはさまざまなナンバリング(モデル名)がある。今回のHP35Sが、35であるのは35周年でHP35を復古するという意味だけでなく、「縦長のRPN式電卓」という意味もあるはずだ。HPはかつて、コンパクトで縦長のハンドヘルドタイプには25や29といったモデル名を付けており、後のハンドヘルドタイプは3シリーズ(33Eや32Sなど)となる。そして、横長の1シリーズというのが登場しているのだが、このタイプはキータッチの問題からかHPユーザーの間でも賛否両論があったモデル。しかしながら未だに売られている金融電卓は、このシリーズであるHP12Cだ。

 その後、HPでは拡張能力やグラフィック表示を搭載したものを4シリーズとして投入する。41Cや48Gなどがこれである。ただし、これらは機能拡張も大幅に行われたために、ちょっと使う程度の用途にはかえって使いずらいモデルとなってしまった。

 現在でもHPはグラフィック関数電卓など科学技術計算向けのもので、数式どおり入力とRPNを切り換えて使える機種を出していたのだが、キーの形が変であったり純粋なRPNではないなどの問題があり、旧来のHPユーザーは手を出しずらかった。

 今回登場したHP35Sは、これらの状況をふまえてHPが『反省』し、原点に立ち戻ったHP電卓として登場させたと言える。

 まず第一に何といっても[ENTER]キーが大きい。そしてその配置位置が伝統のHP電卓のキーボードの位置にあること。このことの意味は大きく、これぞHP電卓といっても過言ではない。最近の機種で、何だかオマケ程度に付けられていた[ENTER]キーに納得するユーザーはいないだろう。さらにキーの形が昔のHP電卓になっており、クリック感のあるキーボードもなかなかのできだ。

 次に余計な拡張機能は一切ない。シリアルポートもついていないし、赤外線ポートもない。これらはおそらくは「付ければ?」という話も設計段階では出たのではないかと想像できるが、電卓の電卓たる原点に戻るという意味では付けなくて正解であったと筆者は考える。電卓には何でもできる、のような余計な機能は必要ないのである。

 このような状況を鑑みるとHPがモデル名として35Sを採用したのは自然であろう。あるいはモデル名の35Sが先行し、それにあう機種が設計されたのであろうか?想像するだけでも楽しいところである。

 一方、さすがに昔を再現できないというか、やっても意味のないのがLED表示。かつてのHP35は表示部分がLEDだったが、HP35Sは液晶2行となった。もっとも、HP電卓でも後期は液晶が採用されていたので、今更わざわざコストをかけてLED表示にする意味はない。ちなみにHPの半導体部門(現在のアジレント・テクノロジー)はLEDでも有名である。

 ちょっと余計なことをしてくれたなと、思うのがカーソルキー。これは筆者は要らない。カーソルキーがあれば便利なシーンはもちろんあるのだが、このデザインははっきりいって無粋である。できれば他のキーと同じデザインでごまかしてほしかった。

 ちなみに「数式通り」モードも搭載しているのが今風である点の1つ。ぱっと見、イコールキーがないが[ENTER]キーが代用となるので、普通の電卓しか使えない人も安心である。

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