気になる音質をチェックしてみよう。本機には8cmのフルレンジスピーカーが2個内蔵されている。出力はAC電源を接続した状態で8W+8W、内蔵バッテリでの駆動時は4W+4Wでの再生が可能だ。
サイズの割にしっかりとした音で鳴るものの、一つのスピーカーで高音から低音までまかなうフルレンジスピーカーの音質には限界があるのも事実。すべての音がまとまって鳴ってしまい、音質レベルとしては同サイズのラジカセ程度と認識したい。
ただしそれらの特性を補うために、いくつかの補正回路が備わっている。ノーマル再生ではステレオ再生による広がりがないのだが、「VPTワイドステレオ」機能を使うと、本体が一回り大きくなったような臨場感が出る。若干中央部の音がスカスカになるが、ライブなどはこちらの方が迫力は出そうだ。
「デジタルリニアフェーズ」機能は、スピーカーの中高域の特性を補正して楽器やヴォーカルの定位感や、奥行きを出して再生する。ポップスやジャズ向けなど雰囲気の異なる3タイプから選んで設定できる。この機能を使うと、ぼんやりとしたサウンドが、急にメリハリがついて聴きやすくなる。筆者のお薦めの機能ではあるが、残念なことに前述した「VPTワイドステレオ」とは排他的な関係にある、どちらかを選択しなければならない。
本機には128Mバイトのメモリが内蔵されており、パソコンから楽曲をダウンロードして本体に保存できる。操作方法はダウンロードしたい曲の再生中に本体のダウンロードボタンを押せば、そのまま本体のメモリに記録される。
時間は1曲当たり数10秒かかる。128Mバイトというメモリ容量を考えると用途に困るが、カラオケの練習用に2、3曲を連続して聴きたいというニーズには向いているだろう。
意欲的な製品であることは認めるし、内蔵バッテリーだけで約4時間の再生ができる使い勝手の良さも魅力的だ。マニアックなパソコンユーザーの物欲をくすぐるには、十分な製品になっている。しかし、操作系などのインターフェースは難あり。
ワイヤレス機能がフルセットでついて実売価格が3万円台半ばというのは、かなりお値打ちだと筆者は感じる。音質について不満を書いたが、単なるパソコンの周辺機器と考えるなら、お釣りが来るぐらいのクオリティだ。
しかし、あえてこの手の商品を開発するなら、もう少しコストアップしてでも、オーディオ機器として満足できる仕上がりにしてほしかった。
本体サイズを大きくして高性能のトゥイーターを入れる、本体の表示をカラー液晶にするなどの改善することによって、満足度はかなりアップするだろう。
ただし、本機のコンセプト自体はすばらしいものだと思うので、ワイヤレスオーディオ環境を整えないという人向きの製品だ。
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