写真の手ブレを補正する新技術、MITとトロント大学が開発

文:Stephen Shankland(CNET News.com) 翻訳校正:編集部 2006年08月10日 20時18分

 マサチューセッツ工科大学(MIT)とトロント大学の研究者グループが、手ブレにより失敗した写真を補正する画像処理技術を発表した。

 この技術は、写真が撮影されたときの手ブレの軌道を推測するアルゴリズムに基づいている。この軌道を使うことで、ぼやけた画像の大半を修正できる。この手法は万能とはいえないが、MITとトロント大学の研究者グループは、この技術を使ってさまざまな画像サンプルの補正に役立てた。

 一つの例は、黒と白と赤褐色の羽根をもつ鳥の写真で、その足がほとんど識別できないほどぼやけているというものであった。これに画像処理を適用すると、足だけでなく、目の周りの黒い斑点や黒い羽根に混じった白い模様、またその他の細部までが見えるようになった。

 「自然画像統計が手ブレ画像を補正するのに利用され、成功したのは初めてのことである」と、MITの研究リーダーであるRob Fergus氏は、先週のコンピュータグラフィックス会議「SIGGRAPH 2006」のデモンストレーション後に取材のなかで述べた。考案者らはこの画像処理技術について特許を申請した。

 この技術は、通常の画像であれば10〜15分で処理が完了する。写真の明から暗への移行を示す統計性を利用していると、Fergus氏は言う。この特性は、実世界にある全ての画像で同じなため、特定の写真の中でそれがどのように変化しているかを観察することにより、この処理技術はカメラの軌道を推測することができる。

 画像処理は一大産業であり、人間とカメラのミスを埋め合わせることが、その主な役割となっている。画像編集ソフトや一部のカメラでさえ、ごく当たり前に、フラッシュが原因となる赤目を補正することができる。写真撮影の際の不安定な手を補う技術は、新型カメラの大きなセールスポイントになっている。また、Adobe Systemsの「Photoshop」では、画像を補正する作業を助けるために多くのプラグインモジュールが存在している。斑点状になった画像ノイズを除去したり、画像を鮮明にするためエッジを際立たせたりすることができる。

 目下のところ、Photoshopの最新版である「CS2」は、「Smart Sharpen」フィルターによりブレを補正する技術を備えている。これと比較すると、今回の研究者グループのアプローチは、もっと複雑な揺れに対応している。「実際のパターンとは、実に奇妙なものである」とFergus氏は述べている。

画像の比較 提供:Rob Fergus

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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