シンクタンク側の「大胆な主張」
このレポートは、読めば読むほど多くの疑問が湧いてくる内容のものだが、これをまとめたKen Brownはインタビューのなかでさらに大胆な考えを主張した。
「少なくともTanenbaumの言葉を信じる限り、LinusがMinixを下敷きにしてLinuxを開発し始めたのは明らかだと思う.....彼はMinixを参照しながらLinuxのコードを書いた。『発明』という言葉の定義からすれば、Linusがやったことは発明にはあたらない」とBrownは述べ、「Fordのクルマの設計図を参照しながら組み立てたChryslerのクルマは、Chryslerが発明したものとは言えない。たとえ『これはFordの設計によるものです』と明示せず、そのことが一般の人にわからなかったとしても、他人の設計図を使ったことには変わりがない」と付け加えた。
この調査のためにBrownが行った面談のなかで、Tanenbaumは「LinusはMinixをベースにしてLinuxをつくった。さらに彼は、ファイルシステムやソースツリーなど、Minixから 多数のアイデアを借用した」と語った。
LinuxがMinixの派生著作物に該当すると仮定した場合、出版社Prentice Hallが保有する知的所有権をLinuxが侵害した疑いが浮上する。Prentice Hallは出版した書籍のなかでMinixのソースコードを公開していたものの、その利用については2000年まで制限を課していたからだ。それらの書籍を販売する機会を喪失したことから、「Prentice Hallは、一説によれば何千万ドルに相当する売上を失ったことになる」と同レポートには記されている。
しかし、Torvaldsは、Linux開発者らは自分も含めて、きちんとクレジットを入れていると主張している。
「LinuxにMinixのコードが使われたことは1度もない.....われわれが、他人のコードを使いながら、自分がそれを書いたと偽ったことはない。そもそも他人の書いたコードなど決して使わなかったからだ」と述べたTorvaldsだが、Unixからアイディアを得た点は認めた。「LinuxはUnixを参考にしてつくったと、常にそういってきた。Unixから数多くの素晴らしいアイディアを借用していることをLinuxがオープンしてきたという事実に、疑問が投げかけられたことは1度もない」
同氏は、Minixについて、Linuxのプログラミングを行う際に使った、単なるプラットフォームだと述べた。
問題のレポートのなかには、Torvaldsが徐々にMinixのコードをLinuxに置き換えていった可能性がある、と示唆する部分があるが、Torvaldsはこの点を否定した。
「MinixのコードをLinuxに借用したことなどない。Linuxを書く時にMinix(で動くPC)を使っていたことは確かだが、それはWindows PCを使ってコラムを書くのと同じようなものだ。つまり、Windowsマシンでコラムを書いたからといって、文章のなかにWindowsのソースコードが紛れ込むことなどあり得ない、ということだ」
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