モバイルデバイスを中心に新製品をヒットさせ続けているアップルが7月27日に発表した新製品は、デスクトップ関連だった。特に「Mac Pro」と「iMac」のラインアップ刷新は待ち望んでいた方も多かったと思う。iMacについては27インチモデルを後日ご紹介するとして、今回は突如として現れた新しいデスクトップ向けのインターフェース「Apple Magic Trackpad」を紹介する。
アップルは新しいワイヤレスインターフェースとして、Magic Trackpadをリリースした。形を説明するなら、「ちょうどMacBook Proのトラックパッド部分を切り抜いて独立させたようなもの」と言えばもう説明が終わってしまう。ただ、ノートブックに搭載されているトラックパッドよりも大きく、アップルによると現行のノートブック製品のトラックパッドエリアと比較して80%大きいとしている。
パッケージはちょうどCDのジャケットと同じサイズで、アップルの「Mac OS X」や「iWork」などのソフトウェアパッケージと同じようなサイズで販売されている。本体のサイズは130mmの正方形をしており、横は製品の幅いっぱいまで、奥行は手前から111mmがトラックパッドの領域となる。タイトルの144.3平方センチとは、トラックパッドの面積のことだ。トラックパッドの操作部分はMacBook Proと同様、ガラストップが採用されている。
僕自身、MacBook Proを今年の4月から使い始めているが、最も気に入っているのはこのガラストップのトラックパッドの手触りだ。しっとりと冷たく、しかしベタつかずに滑らかに指を動かすことができるこのトラックパッドは、これまで使ってきたMacやPCなどのすべてのポータブルインターフェイスと比較して最高傑作だと思っていた。この手触りがデスクトップでも体験できるというのは、ちょっとした興奮に値するのだ。よく指先に集中して触れてみてほしい。ざらついた他の製品とは明らかに違うし、この気持ちよさが日常になる体験は素晴らしい。
さて、Magic Trackpadは電池2本をパッドの奥側に内蔵する。盤面がほどよい傾斜をしてくれるデザインだ。MacとはBluetoothで接続するため、ケーブルの煩わしさからは解放され、デスクの上でも自由な配置が可能になる。しかしアップルのこだわりはそれだけではない。すでに発売しているBluetoothのワイヤレスキーボードと並べてみると、奥行きの長さ、盤面の傾斜角度はピタリと一致し、アルミニウムの色味まで同じ。キーボードとMagic Trackpadを並べて使うことは、一目見ただけで誰に説明されることなく理解できる。
アップルのノートブックシリーズに搭載されているトラックパッドにはボタンが用意されていないように見える。しかし盤面全体がボタンになっており、通常のクリックは好きなところで盤面をそのまま押せばよい。ボタンの位置が決められていないため、右利きの人でも左利きの人でも、あるいは親指でクリックしたい人でも人差し指でクリックしたい人でも、同じ1つのトラックパッドで対応してくれるユニバーサルなデザインなのだ。
Magic Trackpadも同様にボタンは用意されていないが、机に置いた状態でクリックするとクリック音も鳴る。ただし、掌に載せているとクリックができない時がある。そこで気付いたのだが、マウスボタンのクリックスイッチは、本体の手前にある丸いゴム足が担っていたのだ。無駄がなく、しかし意味があるアップルの最近のデザインには感心させられっぱなしだ。
Windowsユーザーからすると「右クリックはどうするの?」「スクロールは?」という質問があるはずだ。Magic Trackpadはボタンを用意する代わりに、タッチする指の本数でその役割を変えることができる。1本指でクリックすると通常クリック、2本指だと右クリック。1本指を動かすと通常のマウス移動だが、2本指で動かすと全方向に対応するホイールのスクロール。こんな具合で、ボタンではなく指の本数で操作を変えていく。
そのほかにも、2本指の間隔を広げれば拡大(ピンチアウト)、縮めれば縮小(ピンチイン)、2本指を回転させてコンテンツの回転、3本指でアプリケーション切り替えの呼び出しなどの機能を呼び出すことができる。これらはジェスチャーと呼ばれているが、Mac OS Xのシステム環境設定にあるトラックパッドの項目で、対応する全てのジェスチャーを、操作方法の動画付きで設定することができるしくみになっている。
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