わずか数時間後にはAppleがMacworldでの最後の基調演説を行うというタイミングの中、Microsoftが再び、消費者がWindows PCよりもMacを選んだ場合に支払う、いわゆる「Apple税」を声高に喧伝している。
Apple税は、Microsoftが2008年秋から使い出した言葉。この言葉自体はかなり斬新かもしれないが、中身はおなじみの内容である。ライバル製品を使うとコストが余計にかかると主張するのは、Microsoftの常とう手段だ。別の例としては、Microsoftが展開した反Linuxの「Get the Facts(真実に目を向けよう)」キャンペーンを思い出してもらえば十分だろう。
いずれにせよ、このApple税という概念は今後存続しそうと語るのはMicrosoftのWindowsマーケティング担当バイスプレジデントBrad Brooks氏。Brooks氏は記者らにApple税について説明した上で、同概念は今後、オンラインマーケティングやMicrosoftの広告にも登場するかもしれないと語った。
Microsoftは、「Apple税」の具体的な数字を示すために、いくつかの表を新たに用意した。同社によると、デスクトップについては、Mac miniのローエンドモデルの代わりにDellのStudio HybridやHewlett-Packard(HP)のPavilion Slimlineを選べば100ドル(16%)のコスト削減が可能だという。また、ミッドレンジに関しては、iMacのローエンドモデルの代わりにDell XPS Oneを選べば25%のコスト削減になるとし、さらにMac Proの価格はHPのハイエンドデスクトップの2倍以上だと主張する。
Microsoftが最初に「Apple税」を持ち出した際、私は、仮にそれが税金だとしても、より多くの消費者がそれを支払っても構わないと考えているだろうと主張した。
しかし、Brooks氏は、景気の悪化により、今後、コンピュータにより多くの費用をかけても良いと考える人は限られてくると見ている。
「より多くの人々が頭をかきながら、(Apple税は)本当に支払うべき税金だろうか、と自問するようになる」(Brooks氏)
Brooks氏によると、Apple税は単にApple製品の店頭表示価格が他のメーカーの製品よりも高いということだけでなく、Macユーザーの選択肢が乏しいという意味も含まれているという。たしかに、Apple製ハードウェアは他社製品よりも選択肢が少なく、Mac製ソフトウェアの売り場も他社製品の売り場に比べてはるかに狭い。またBrooks氏は、Macをより閉鎖的な製品として位置づけようとした。同氏は、Appleがユーザーに「塀で囲まれた庭」を押しつけている例としてiTunes App Storeを挙げた。たしかにiPhoneとWindows Mobileとの比較なら、同氏の主張にも一理ある。しかし、最近確認してみたところ、現在は開発者らがMac向けに好きなプログラムを自由に開発できる環境にある。
Macユーザーが、他のより安価なPCの存在を知らないという考えには同意しかねるが、今の経済状況により、今後、Appleをはじめ、すべてのPCメーカーが厳しい状況に追い込まれると見ている。消費者も、コンピュータを購入すべきか、あるいは他の生活必需品を購入したり、将来失業する可能性を考えて消費を控えるか、といった比較検討を迫られることは間違いない。
とは言うものの、どのような企業が景気低迷の影響をより多く受けるのかは不透明だ。Appleは、富裕層をターゲットにしているBMWなどの自動車メーカーといろいろな意味で似ている。今後Appleは、最近の成長トレンドについて行くのに苦労するだろう。しかし、自動車市場を見ても分かる通り、Ford、GM、Hyundaiといった大手メーカーも大打撃を被っているのだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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