世界のオーディオを牽引するビクターはトップマウント構造とマイクロHDユニットを採用したインナーイヤーヘッドホンを発売した。高解像度の音の再生を追い求めた新製品の実力に迫る。

激戦価格帯のヘッドホンを見ればヘッドホンメーカーの音にかける姿勢が見えてくる

 少し昔の話になるのだが、ワールド・ベースボール・クラシックで球場入りするイチローが『iPod』で音楽を聴いていた。凛とした表情で集中力を高めていく姿はとても力強く美しかった。だが、アップになった耳元には、付属のイヤホンがそのまま使われていた……「イチローほどの人なら、ヘッドホンもカスタムしているかと思ったが、音質にはあまり気を使わないんだなぁ、この人は」と思ったことを印象的に覚えている。

 今、デジタルミュージックプレーヤーを使っている人が、まず気に掛けないといけないのは、自分なりのヘッドホンに何を選ぶかということだろう。出勤途中の電車の中では、右を向いても、左を向いても、ミュージックプレーヤーで音楽を聴く人だらけ。ミュージックプレーヤーそのもので個性を主張することはもはや不可能に近い。どんなミュージックプレーヤーを使っているかではなく、どんなヘッドホンを使っているかが自己主張につながる。選択の基準に関しては、デザインを重視するのか、音質を重視するのか人によって異なるだろうが、大げさに言うと、使っているヘッドホンで、その人のライフスタイルが垣間見えてくるのだ。

 そんなわけで、デジタルミュージックプレーヤーに好みのヘッドホンを合わせたいというニーズから、ヘッドホン需要は大きく伸びている。今、とくにヘッドホンのボリュームゾーンとなっているのは、4000円〜6000円程度の価格帯。手が届くところでの贅沢を楽しむ、「プチゴージャス指向」がヘッドホンの世界にも広がり、比較的に高品質なものへ人気が集まっている。
 この価格帯は、一般的には、ミドルゾーンと言われるが、最大のボリュームゾーンとなるこのクラスには、ヘッドホンメーカー各社が戦略的なモデルを投入している。メーカー各社のヘッドホンに対するこだわり、オーディオや音質に対する考え方が顕著に表れる戦略的な商品が多数あるので、各社独自の切り口で生み出された商品が多く、音質の実力から考えたらコストパフォーマンスも高い優れたモデルが並ぶ。

 今回ご紹介するビクターの『HA-FXC71』と『HA-FXC51』は、『FXC71』が実勢価格で6000円前後、『FXC51』が4000円前後と、まさにこの激戦価格帯のヘッドホンだ。日本を代表するオーディオメーカーが満を持して投入した自信の商品といえるだろう。

HA-FXC71 『HA-FXC71』ブラック
HA-FXC51 『HA-FXC51』レッド

 最近は、この価格帯のインナーイヤー型ヘッドホンには、大口径のドライバーユニットを採用するメーカーが多い。「音の出口であるドライバーユニットが、大きければ大きいほど、低音が出やすく広帯域再生が実現できる」という考え方だ。だが、ユニットを大きくすればするほど、当然、耳穴には入りにくくなり、耳道の外側から音を鳴らす構造となってしまう。そのためユニットから音の通るノズルを作り、そのノズル部分にイヤーピースをはめ、耳穴に差し込むという形をとっている。だが、そのような形態では、音源は鼓膜から離れていくこととなり、ノズルやイヤーピースが多少なりとも音の流れに影響を与えてしまうことは否めない。

HA-FXC71/51 スペシャルサイト
製品スペック紹介
HA-FXC71

再生周波数帯域:8Hz〜25,000Hz
質量:6.2g(コード含まず)
コード:1.2m(Y型)、φ3.5mm 24金メッキステレオミニプラグ付
付属品:シリコンイヤーピースS、M、L 各2個、 コードキーパークリップ、キャリングポーチ

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HA-FXC51

再生周波数帯域:10Hz〜24,000Hz
質量:4.4g(コード含まず)
コード:1.2m(Y型)、φ3.5mm 24金メッキステレオミニプラグ付
付属品:シリコンイヤーピースS、M、L 各2個、 コードキーパークリップ、キャリングポーチ

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著者プロフィール

ホリー・ポッター
テレビやレコーダー、ヘッドホンやオーディオ機器など、AV全般に精通したライター。オーディオ専門誌の編集から独立、フリーライターに。どれだけ楽しく使えるかという視点で商品を開設。難しい技術を猿でもわかるように、が信条。編集プロダクション、ディー・ファンク代表取締役。

提供:日本ビクター株式会社
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