最終更新時刻:2010年12月18日(土) 8時00分

専用サーバでも垣根が低く費用対効果を発揮--「さくらのマネージドサーバ」をサイト制作事業者が評価

申し込んですぐに使える手軽さ

 さくらのマネージドサーバ Atomプランは申し込み時点で直ぐに使える状態で提供される。さくらのレンタルサーバと同じである。参考までに、さくらのマネージドサーバ Atomプランの主な機能の管理画面を紹介する。

(1)PHPか、CGIモジュールのどちらかでJoomla CMSを稼働させるための設定。PHPモジュールモードでJoomla CMSを稼働させた方が反応スピードが早くなる。今回のテスト比較は、ビジネスプロもAtomプランのPHPモジュールモードに設定している。
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(2)データベースの設定。さくらのレンタルサーバ同様、自由にデータベースの新規作成が可能(さくらのレンタルサーバライトプランを除く)。
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(3)さくらのマネージドサーバ Atomプランのリソースモニター(モニタリングツール)画面。見ての通り、負荷が殆どない状態にあることが分かる。
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(4)独自SSLの設定画面。
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(5)ファイル共有(WebDAV)の設定。ビジネスプロにはない機能だ。
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(6)全文検索システムNamazuのサイト内検索機能の設定画面。ビジネスプロと同じだ。
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(7)ユーザー管理画面。これもビジネスプロと同じだ。
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(8)管理者ユーザーの設定画面。これもビジネスプロと同じだ。
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最適な使い方とCMS導入時の負荷推測

 実際のJoomla CMSのセットアップは、システムソフトのFTP、データベース設定、そして、インストール作業で一応完了する。

 したがって、一般的な普通のレンタルサーバが使える人であれば何の問題もなく使える。特に、さくらのレンタルサーバの管理画面に慣れている人なら違和感はまったくない。つまり、エンジニアでないと使えないという高度なものではないわけだ。ただし、Joomla CMSをインストールする際には、その過程でphp.iniの設定が必要になってくる。これさえクリアできれば問題ない。Joomla CMSの教科書本を事前に読んでおくか、ウェブで検索してやり方を学んでおく必要はあるだろう。

 こうして見てくると、さくらのマネージドサーバ Atomプランのコストパフォーマンスで最も恩恵を受けるのは、データベースを必要としないウェブサイト制作会社だろう。CMSと違ってウェブのアクセスとMySQLの負荷を同時に受けない。Joomla CMSは、PHPとMySQL データベースで稼働するため普通の静的なウェブサイトと比較してCPU負荷が大きい。

 感覚的には、Joomla CMSを5システムぐらいならばアクセス負荷が多少あっても余裕で使えると思う。10システムを超える場合は、反応スピードが体感的に遅く感じ始めるのではないかと推測している。

 しかし、Joomla CMSにあるキャッシュ機能やGZIPページ圧縮機能でCPUの負荷を和らげるのでひょっとしたら、20システムぐらいを導入しても問題がないかもしれない。20システムぐらいひとつのサーバで導入して体感スピードもあまり遅くならないのであれば、当社ゴヤットでも積極的に活用したいと考えている。

さくらのマネージドサーバ Atomプランの魅力と想定ユーザー

 ここまで、基本性能やJoomla CMSのインストール、スピードテストなどを試してきたが、その試用感に基づいた評価できるポイントと、今後の期待を込めた要望を以下にまとめた。

評価できるポイント

  • 専用サーバ管理が簡単である。共用レンタルサーバの経験がある人ならば何の問題もなく利用できる。
  • MySQLデータベースの利用が無制限である。
  • さくらインターネットが独自に提供するサブドメイン(2つ)サービスがある。
  • サーバの負荷がわかるリソースモニター(モニタリングツール)がある。
  • HDDはRAID1構成で、サーバデータの日次バックアップも行なわれている。
  • さくらのレンタルサーバ ビジネスプロと同様に、複数人でサーバ管理ができる。
  • 共有と独自SSL機能がある。

要望

  • Joomla CMSも含めて他のオープンソースCMSシステムが、ワンクリックでインストールできる機能が欲しい。
  • MySQLデータベースに依存するCMSが何システムまで導入でき、運用ができるかの目安データが欲しい。
  • OS、PHP、MySQLなどのバージョンアップで現状を維持するか、バージョンアップするかの判断をユーザーに問い合わせをして欲しい。CMSの場合、新しいOS、PHP、MySQL(いわゆるLAMP環境)などの環境に依存するため、ある条件下ではバージョンアップをしないで現状維持を求める場合がある。

 さらに、料金面や機能面でコストパフォーマンスも併せて考えると、さくらのマネージドサーバ Atomプランは以下のようなビジネス、ユーザーに向いているのではないだろうか。

向いているビジネスとユーザー

  • SOHOでウェブ制作業を営む個人事業主
  • ウェブサイトを持っている一般的な中小企業
  • 軽いオープンソースCMSでサイト構築サービスを提供する企業
  • アフィリエイター
  • インターネットで副業ビジネスを展開したい人
  • MySQLデータベースをたくさん使いたい人
  • サーバ管理で楽をしたい人や企業
  • 複数人でサーバを管理する企業
  • 極端なアクセス量を想定しないウェブサイト

さくらのレンタルサーバとの違い

 最後に、さくらのレンタルサーバ ビジネスプロとの違いを以下に挙げる。

 CMSでウェブサイトの構築をするには、MySQLのデータベースが必須である。MySQLのデータベース数が限られるレンタルサーバは扱いづらいイメージがついてまわる。1つのサーバでどれだけたくさんのCMSサイトを稼働させられるかが、CMSでウェブサイトを構築するビジネス上で重要視される。その意味合いでさくらのマネージドサーバ Atomプランの「MySQLのデータベース設定数に制限なし」は非常に魅力的である。

さくらのレンタルサーバとの違い
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 このように、ウェブサイト構築サービス事業者としての視点から使用してきたが、まとめると、さくらのマネージドサーバ Atomプランは、料金的にも機能的にもコストパフォーマンスが良いと思う。この恩恵を最も受けるのは、(1)データベースを使わない静的ホームページ制作企業やSOHOウェブ制作者、(2)中小企業のウェブサーバ運営者、(3)Joomla CMSのように軽いオープンソースCMSシステムサイト構築企業だろう。サーバ管理とサイト運営機能の面で十分必要条件を満たしている。

 しかし、今後の期待を含めて指摘させていただくと、これからの課題はアクセスが多いポータルサイト専用に活用できるかどうかである。CPU能力の弱さが足を引くかもしれない。

 今回は限られた時間の中でのレビューであったため、Joomla CMSシステムを数セット導入した上での負荷検証までは行えなかったが、今後、このサーバ環境を実際のビジネスで使用してJoomla CMSシステムを20セット導入し、どれぐらいの負荷になるかを検証してみたい。

さくらのマネージドサーバについてはコチラ

プロフィール
吉田憲人ゴヤット合同会社(英文名 Goyat LLC) 代表/CNET Japan読者ブロガー

1988年にソニー株式会社に入社。主にコンピュータ関連のマーケティング業務。1999年に社内ベンチャーとして無料メルマガサイトPubzine(パブジーン)を起業。2004年にヤフー株式会社に転職。Yahoo!メルマガのコンセプトを売り込み、2006年8月にサービスリリース。同時に、退職。2006年9月にゴヤット合同会社(Goyat LLC)を設立して独立の道を選ぶ。CNET Japan読者ブロガーとして「オープンソースJoomla CMS」も執筆。

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