最終更新時刻:2010年12月18日(土) 8時00分

スタートアップ企業やアプリ開発の現場で威力--「さくらのマネージドサーバ」をネットビジネス事業者が評価

スタートアップ企業なら即座に事業開始が可能

 新しいポジションにうまく誕生したともいえるAtomプランだが、実際の使いみちを考えてみた。

 まず、スタートアップ企業がさくらインターネットでドメインを取得し、SaaSと組み合わせて使うのはどうだろうか。例えば、メールやスケジューラは「Google Apps」を使って、ホームページは「WordPress」などのCMSを、顧客管理は「SugarCRM」などをそれぞれインストールして使う。

 ホームページを効率的に管理するには何かサーバが必要になるし、顧客管理のSaaSは機能を期待すると割高になるし、機密情報などセンシティブなデータも多いので、自社サーバに置いておくというのもありだ。Google Appsアカウントでシングルサインオンできるようにしておけば、管理面もセキュリティ面も安心が増す。

 これだけならまだ負荷は少なく、たっぷりリソースが余っていると思うので、必要に応じて適度にディレクトリを作成し、追加のアプリケーションを入れていくといいだろう。スタートアップ企業が最初の2〜3年を過ごすときのメインサーバとして、しっかりと活躍してくれるはずだ。

 WordPressをインストールする際は、使用するデータベースをコントロールパネルからあらかじめ登録しておく。SugarCRMを使う場合も、やはりコントロールパネルからデータベースを用意し、インストールを行う。php.iniの変更をして、ウィザードに従って設定すれば、ちょっとした時間でセットアップできる。

ダウンロードからセットアップまで10分程度で完了し、実際にWordPressで作成したサイト
クリックで拡大画像表示
ダウンロードからセットアップまで30分程度で完了し、実際に作成したSugarCRM
クリックで拡大画像表示

ウェブアプリケーションなどの開発現場でも手頃で小回り

 次にウェブ開発や制作現場ではどうだろうか。最近はウェブアプリケーションの開発や運用を、クラウドサービス上で進めることも多くなってきたが、やはり国内に設置された専用サーバであればレスポンスがよく快適である。

 特にSSHを使ったときの体感速度が違って感じる。というのも、Amazon EC2やSlicehostといったクラウドサービスでは、サーバが海外にあるためラウンドトリップのレスポンスが150msから200ms程度かかってしまうが、本サーバだと10msから15ms程度で済む。人気サイトだと、アクセスの遅さが機会損失の原因となり、そのまま収益減につながるため、反応の速さは実は重要な要素の1つである。

 そのほか月額料金が手頃なところは、受託案件を運用するサーバとして客先に提案しやすい点と言える。リリース前の移設コストなどを省略するために、早めに借りて開発サーバとして使っておくというのも合理的かもしれない。

高価な専用サーバやVPSを使う前に選択肢として一考を

 このように、基本性能を見た上で使い道を想定しつつ実際に使ってみた。使用してみて付け加えるなら、自分はさくらのレンタルサーバのコントロールパネルに慣れていて、エンジニアがSSH接続を希望しているとか、プロジェクトや事業の関係者にさくらインターネットのレンタルサーバを使ったことがある人がいる場合とかは、Atomプランを使うことで管理上の負担が減る可能性がある。さくらのレンタルサーバに触れてみたことがある人は、実際多いだろう。サーバ管理は面倒な作業を伴うので、メンテナンス仲間がいるのはうれしい。ということで、周りが知っているサーバを使うのは大きな意味がある。

 ちなみにコントロールパネルについてくるファイルマネージャは意外に便利。ウェブサイトの修正や保守が可能で、ちょっとした更新は十分こなせそうだ。ファイルのコピー機能があったら、FTPなどのファイル転送なしで静的ウェブサイトの更新は続けていけるかもしれない。

 せっかく専用サーバなのだから、いろんなオープンソースソフトウェアを入れて多機能に使ってみたい。ぜひ、どういうツールが導入できるのか、その実績の一覧があるといいのではないか。ユーザーの導入事例が紹介されていたり、ソフトウェアのインストール方法が詳しく書いてあれば、オープンソースになれた人にも使い易くなり、これまでだと従来の高価な専用サーバやVPSを選択してきた人も、このAtomプランで十分と考える人も増えるだろう。

さくらのマネージドサーバについてはコチラ

プロフィール
小山文彦株式会社ゴーガ 代表取締役/コンサルタント

山口大学人文学部卒業。コンピュータ関連出版のインプレスにで、オンラインソフト紹介サイト窓の杜の編集デスクを担当。2000本以上のソフトウェアレビューを経験する。その後、富士総合研究所(現みずほ情報総研)で、自社サイトやみずほ会員向けサイトの企画運営に携わる。みずほのシステム会社統合にあたり、極めて短期間でのサイト統合を成功させる。みずほフィナンシャルグループ瑞朋会会員。A型のうお座。
毎日走る社長のブログも執筆。

関連記事
“本物”のクラウドサービス展開を視野に低コスト構造を堅持--さくらインターネット田中社長 VS.ネット事業者

さくらインターネットのサービスや今後の戦略について、またレンタルサーバビジネス全般について、同社の田中社長とネットビジネス事業者2人が、サービス提供者、利用者というそれぞれの立場から熱く議論した。

インフォメーション
提供:さくらインターネット株式会社
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部