「自社が提供しているアプリケーションのパフォーマンスは、顧客(ユーザー)の満足のゆくレベルを確保できているのか」──。
この疑問への解をリアルタイムに突き止めることができるAPMソリューションが「AppDynamics」である。同ソリューションは、ユーザー(Webブラウザ/モバイル端末)、アプリケーション、そしてインフラ(オンプレミス/クラウド環境下のサーバ、データベースなど)のすべての状態をエージェントベースで監視する仕組みだ。複雑な分散アプリケーション環境全体を自動的に把握し、全ユーザー/全トランザクション性能を一括して監視することができる。
この監視を通じて、トランザクション性能がユーザー満足度/ユーザー体験に悪影響を及ぼすレベルに低下した際には、アラートを自動で発し、それと併せて問題原因も特定する。さらに、システム/アプリケーションの状態がビジネス成績(売上/コンバージョンレートなど)にどのような影響を与えているかも分析することが可能だ。
言うまでもなく、デジタルビジネスの世界では、顧客に良質な体験・利便性を提供できるかどうかで成否が分かれる。にもかかわらず、アプリケーションの性能が悪い、あるいは性能低下を頻発させているようでは、顧客の不満・離脱を招き、ビジネスの成功は望めない。そのため欧米では、数多くの企業が、オンラインサービス、あるいはデジタルビジネスそのもののパフォーマンスを計測し、改善のPDCAサイクルを回すためのツールとしてAppDynamicsを用いており、同ソリューションの成長が続いているのだ。
「欧米では、デジタルビジネスの成功にはAPMが欠かせないというのが常識です。ビジネスのデジタル変革が進行する欧米各国においてAppDynamics需要が伸び続けているのは、ある意味、自然な成り行きと言えるのです」(アップダイナミクス ジャパン カントリーマネージャー、内田雅彦氏)。
また、デジタルビジネスにおいては、猛スピードでのアプリケーション開発・改善が必要とされるが、AppDynamicsを活用すれば、ビジネス・開発・運用が一体となったPDCAサイクルを高回転で回し、アプリケーションの品質を高めていくことが可能になる。それも、AppDynamicsに対する需要を押し上げている一因だ。
こうしたAppDynamicsの人気は日本国内でも高まり続けている。2017年だけで国内の大手企業20社がAppDynamicsの導入を決め、その中には、NTTドコモ、ソフトバンク、ローソンなどが名を連ねている。
こうした日本企業の中には、エンタープライズITのクラウド化/ハイブリット化に伴う運用管理上の課題解決にAppDynamicsを活かそうとしているところも少なくない。
例えば、クラウドの場合、インフラ部分の運用管理は基本的にクラウドベンダーの領分で、例えば、一つのノードがダウンし、代りにもう一つのノードが立ち上がる、といったことが利用者側の意図とは無関係に行われる場合がある。
このような環境では、オンプレミスITに対する監視のように、サーバの「死活」などを監視していても、あまり意味はない。それよりもむしろ、エンドユーザーがアプリケーションを十分に使えているかどうか、アプリケーションの性能が低下し、ユーザーの不満を招いていないかどうかを監視することのほうが重要になる。
「その監視にAppDynamicsを使うことで、エンドユーザーの満足度の低下を即座にキャッチし、エンドユーザーからクレームが出る前に必要な対策が講じられるのです」(内田氏)。
さらに、クラウド活用には、スケーリング/プロビジョニングのしやすさから、必要以上にリソースを確保してしまい、コストを無駄に増大させてしまうリスクがある。しかも、いったんリソースを増やすとパフォーマンスの低下をおそれて、なかなかスケールダウンが行えず、コストを高止まりさせてしまうのが通常だ。
また、オンプレミスITは、大抵の場合、オーバープロビジョンニングの状態にあり、リソースを余らしているのが一般的で、それをクラウドに移行させる際にも、オーバープロビジョニングの状態をそのまま維持させようとするケースが多い。
「このようなときに、AppDynamicsでアプリケーションの性能監視を行えば、性能データを基に、クラウド上で安心してスケールダウンを行い、コストを適正化できます。そんな効果から、エンタープライズITのクラウド化を進めるお客様の多くが、AppDynamics導入へと動き始めているのです」(内田氏)。