マイクロソフトのXML戦略は、本当に「両刃の剣」なのか

Matt Hines(CNET News.com)2005年06月13日 16時53分

 Microsoftは、自社の代表的製品であるOfficeスイートのうち、3つのアプリケーションで新しいXMLベースのファイル形式を採用することになった。これにより、顧客が競合製品へ乗り換えることは簡単になるかもしれないが、しかし業界の観測筋はすぐにそのような乗り換えが大量に発生することはないと予測している。

 MicrosoftがOfficeのデフォルトファイル形式にXMLを採用し、今までユーザーの足かせになっていたプロプライエタリな技術を捨て去った場合、ユーザー企業はこぞって他のソフトウェアベンダーの製品に乗り換える、あるいは少なくともOfficeとライバルベンダーの製品とを一緒に使うケースが今までより増えるだろうと、これまではそう考えられていた。

 Microsoftが先ごろ、次のOffice 12に含まれるExcel、PowerPoint、WordにXMLフォーマットを導入すると発表したことで、この問題はにわかに注目を集めるようになっている。

 「(Microsoftの)XML計画を考えるあたって、最初に浮上してくるのは、同社のXMLフォーマットの採用により、ユーザーが新しい製品--特にオープンソースの製品に目を向けるようになるだろうか、という点だ」と、Forrester Researchのアナリスト、Bob Markhamは語る。

 しかし、Markhamや他の人々は、ユーザーが大挙して他社製品に乗り換えるとの予想について、それが正しいと証明されることは少なくともすぐにはなさそうだと述べている。

 Markhamは、欧州やアジア諸国の顧客が、OpenOfficeのようなオープンソースの代替製品をもっと真剣に検討し始めることはあり得るが、しかしほとんどの企業では、Microsoft以外の製品に目を向ける前に、OfficeへのXMLフォーマット採用が自らの既存の目標達成にどう役立つかを見極めることになると考えている。

 MicrosoftによるXML採用に関して、最も重要な点は、顧客ならびにソフトウェア開発者が企業のITシステムとOffice製品とを、もっと簡単に統合できるようにするということだ。これはかなり前から両者にとって頭痛のタネになっている問題だ。

 SAPは先ごろ、XMLを使ったこのようなシステム統合がもたらすメリットの一例を示した。同社は「Mendocino」(開発コード名)と呼ばれるXMLベースのミドルウェアをMicrosoftと共同で開発してきた。この製品は、両社の製品を同一のインターフェースから利用できるようにするものだ。

 MicrosoftのXMLアーキテクチャ担当シニアディレクター、Jean Paoliは、同社におけるこの分野の第1人者だが、同氏は先ごろ自社ウェブサイトに掲載した記事の中で、オープンな標準があらゆる種類の技術の捉え方を変えることを顧客は理解し始めたばかりであり、Microsoftは自社のXML戦略をさらに拡張しない手はないと述べていた。

 「現在、XMLを中心としてまとまる動きが、企業内でも業界全体でも非常に多くみられる。XML関連のコンテンツやアプリケーション、サーバーなどの新しい波が押し寄せてきつつあることは確かだ」と同氏は述べている。「XMLが至るところで使われるようになれば、ビジネスユーザーの仕事のしかたやビジネスプロセスのあり方が変わり、いまよりも遥かに高度なワークフローが実現することになる。われわれはまだ氷山の一角しか目にしていない 」(Paoli)

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