脚光を浴びる価格最適化技術

Matt Hines (CNET News.com)2005年09月12日 14時22分

 Apple Computerは、MacやiPodなどのヒット商品を市場に送り出せるほどマーケティング力に長けているが、そんな同社でもこと製品の価格設定に関しては社外の力を必要とする場合がある。

 Appleは今年に入って、小売価格最適化に特化したソフトウェアを開発するRaptの助力を仰いだことを明らかにした。同社はこれにより、移ろいやすい消費者のトレンドに機敏に対応し、それによって何百万ドルという売上を新たに得られるような価格設定戦略を追求しようとしている。

 RaptのCEO、Tom Chavezは「Appleが、より綿密な小売価格戦略を立てるための手法を求めて、われわれを訪ねてきた」と説明した。

 アナリストによれば、移り気な消費者の購買傾向を予測することは、ますます科学の域に近づいているという。「同じTシャツなのに、何故ある色が他の色よりもよく売れたのかを理解することは、異なる商品の売れ行きの違いを理解することよりもずっと難しい。しかし、それを判るようにすることがこのソフトウェアの目的だ」と、AMR ResearchアナリストのLaura Preslanは言う。「このソフトウェアを導入した企業では、すぐに大きな効果を目にしている」(Preslan)

 そのため、ビジネスソフトウェア市場最大手のOracleが、次の大きな商売ネタとして小売価格の最適化に飛びついたことも、特に驚くにはあたらない。同社は先ごろProfitLogicというRaptの競合企業を買収し、小売業向けソフトウェア業界でアナリストが最も成長著しいとみなす分野に進出した。

 Oracle共同社長のCharles Phillipsによると、小売価格の最適化という市場は同社にとって見過ごすことができなかった存在であり、そのためのソフトウェアは「現在小売業界で一歩先を行くために必要な存在となっている」という。

 Preslanや他のアナリストは、SAPやSiebel Systemsといった競合企業がOracleの後に続くのも時間の問題であると言う。Preslanはさらに、小売価格最適化ソフトウェアに特化した一握りの企業の間で合併が行われることになるとも述べている。

 「Oracle、SAP、Siebelは、いずれも小売業界を有望な市場と認識しており、小売価格最適化ソフトウェアの構築は彼らの最優先目標となっている」とPreslanは述べ、「これらの企業はすでに小売業界向けにこの種の複雑な技術を実現するための基盤システムを構築している。そして今、ProfitLogicがもたらす小売業界向けの専門知識を利用する道を探している」と付け加えた。

 この分野では、先ごろ非公開企業のPerformance RetailとNotivaが合併を発表したが、これも同分野での整理統合の流れを示すものだ。両社の幹部は、合併の主な理由として、Oracleを含む大企業との競合を挙げている。

 ProfitLogicは、Oralceが過去半年の間に買収した小売業界向けの技術の開発元としては2つめにあたる。同社は、SAPとの買収合戦の末に、3月に小売向けサプライチェーンソフトウェアを手がけるRetekを約7億ドルで買収した。Oracleは、さらに小売業界に食い込むために、RetekとProfitLogicの買収で手に入れた製品を利用するつもりであることを公言している。

 Preslanによると、Oracle、Siebel Systems、SAPやその他の企業が、新たな収益源を見出そうとするなかで、より専門化されたソフトウェアの市場が加熱しているという。これらの大企業はかつて、どのビジネスのニーズにも答えられるように設計されたアプリケーションのみを扱っていたが、大口契約の減少が続いていることから、いっそう少ない数の顧客に訴求する専門化したツールの開発に投資することを迫られている。

 小売価格最適化に関する専門知識を持った数多くの企業が、Oracleと競合する他社の標的になっている可能性がある。Rapt、Retalix、Zilliantなどのアプリケーションメーカー各社は、すでに同様の結果をもたらすとされる技術を顧客に提供している。

 いまのところ、Oracleの競合企業は小売価格最適化分野における最新の計画について口を閉ざしている。SAPはこの記事に関するコメントを断った。またSiebel Systemsは、近いうちに何らかの行動を起こす必要性を否定した。

 しかしながら、SiebelのCRM担当ゼネラルマネージャであるLaurent Pacalinは、小売価格最適化ソフトウェア市場で何らかの動きが確実にあることを認めている。同氏は「小売業界向けの価格最適化ソフトウェアだけでは生き残れないため、こういった企業の合併が今より増えると思う。そのような業界に特化したアルゴリズムは、他のビジネス業界に直接適用することができないため、われわれは既に、他の多くの業界向けの価格最適化ソフトウェアに目を向けている」と語った。

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