[ブックレビュー]地デジどころではない大変革は間近?--「明日のテレビ チャンネルが消える日」

朝日新聞出版
志村一隆
詳細:新書 / 232ページ / 朝日新聞出版 / 価格:¥777 / 外形寸法 (H×W×D):17.4cm × 10.8cm × 1.4cm / 重量:0.2 kg
内容:インターネットや録画機の普及で、テレビを見るスタイルは変化としたと言われる。しかし、日本のテレビ業界は本当にその変化を捉え、対応しているのだろうか? 一足先にテレビ変革の波に巻き込まれた米国のテレビ事情と日本の現状を比較し、その活路を見出す。
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 インターネットが普及して、テレビを見る人が減ったと言われる。確かに、ワールドカップのような世界的に注目される大会の放送以外は、10年前と比べて軒並み視聴率が下がっている。しかし、本当に人々は「テレビ」を見ていないのか?

 正確には「テレビ」は見ていないかもしれない。しかし、「番組」を見る人はそれほど減っていないのではないだろうか。見たい番組は、録画してビデオやデジタルレコーダーで見たり、パソコンでインターネット配信を見たり、DVDで見たり、視聴スタイルは多様化している。視聴者のニーズは日々変化しているのだ。このニーズに応えられなければ、誰も番組をみなくなる。当然のことだ。

 テレビ局も、このままで良いわけはないと焦り始め、試行錯誤しながら、一部の番組のオンデマンド配信などを始めて起死回生を図っている。そのような日本のテレビ局に比べて、さまざまな面白い試みをすでに行っているのがアメリカだ。

 アメリカのテレビ局やメーカーは、インターネットで番組を配信したり、インターネットをテレビに融合したり、自由な発想でテレビを捉えているという。そのさまざまな試みを詳細に伝えるのが本書だ。アメリカと日本では、テレビ事情そのものが多少異なるかもしれない。しかしまずは現状を知り、取り入れられる方法を積極的に採用する姿勢でなければ、日本のテレビには本当に未来がなくなるのではないか。

 本書では、CNET Japanブログでも「衝撃のコンテンツトレンド」を執筆している志村一隆氏が、アメリカで絶大な人気を誇る番組配信サイトの「Hulu(フールー)」を始め、各種のサービスを紹介し、人気の理由や今後の展開を考察する。好きなコンテンツを簡単に共有できる事が、キーポイントのようだ。また、誰でもが映像素材の発信者になれる点にも着目し、制作側に警鐘を鳴らす。

 と、ここまででは、テレビ業界人向けの本かと思うが、アメリカのテレビにはシーズンオフがあることや、面白い形のテレビがあることなど、随所に織り交ぜられたトリビア的なネタは一般人の筆者にも楽しめた。一視聴者としては、番組を楽しむための選択肢が広がるのは歓迎だ。ぜひともテレビ業界の方には本書を読み、アメリカで成功している便利なサービスを日本でも取り入れる積極的な姿勢を期待したい。


CNET Japan編集部より「明日のテレビ チャンネルが消える日」プレゼント

 今回ご紹介した「明日のテレビ チャンネルが消える日」を5名様にプレゼントします。ご希望の方はハガキにて下記までご応募ください。7月20日消印有効。

〒104-8011
東京都中央区築地5-3-2
朝日新聞出版
新書編集部「明日のテレビ」プレゼント係

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