―― 20年にわたって日本のIT市場を大きく牽引してきたネットワンシステムズですが、この間、ネットワークの使われ方はどのように変化してきたのでしょうか。
荒井氏 創立当初の1988年は、まだイーサネットやIPネットワークは主流ではなく、ホストコンピュータの時代でしたから、ネットワーク専業の会社はほとんど存在しませんでした。ネットワークにフォーカスする当社が設立されたのは、「時代の流れ」だったのかもしれません。
その後インターネットが爆発的に普及して、世の中が大きく変わりました。ネットワークが重要な位置を占めるようになり、企業でも生活でもネットワークは必要不可欠な「ライフライン」になりました。当社はこれまでの20年、ネットワークの普及に取り組んできましたが、これからはネットワークを安心、安全に使うという点に注力していかなければいけないと考えています。
―― ネットワンシステムズといえば、「IPネットワークを日本に普及させた企業」というイメージがありますが、他社に先駆けてIPに着目していたのは、どのような経緯だったのでしょうか。
荒井氏 当社は、米国のネットワーク機器メーカーのアンガマンバスと、三菱商事との合弁企業としてスタートしました。1989年にシスコと契約しましたが、シスコ製品の最初のキーワードは「マルチプロトコルルータ」だったのです。つまりIPに特化していたわけではなく、ネットワークに混在するいろいろなプロトコルを集約し、ひとつの機能で提供できるというものでした。
ところが、それからネットワークの利用率が急速に拡大してLANが普及してくると、LANと相性の良いTCP/IPが使われるようになりました。当社では、どうすればお客様の効率が向上するかという研究開発を行ってきましたが、その過程において、結果的にTCP/IPにたどり着いたのです。