デジタルコミュニケーションズの語る「文書進化論」とは— 文書のXML化により製造プロセスのイノベーションを実現

CNET Japan Ad Special2013年02月14日 11時00分

日本企業が気づき始めたXMLの重要性

 なぜDITA-XML化への取り組みが重要なのか。その理由のひとつは事業のグローバル化だ。自社製品をグローバル展開する際、また製品の部品などをグローバルで調達する際、グローバル対応のドキュメントが必要となるのだ。「このドキュメントをXML文書で流通させることで、グローバルレベルで情報の要点を把握することができる」と福重氏はいう。

 製品をグローバル展開する際には、1つの製品につき展開する国の言語の数だけ製品マニュアルが必要になる。その数は製品数の数十倍になることもあり、従来の翻訳手法でマニュアルを翻訳するのは非合理的だ。そこでマニュアルをXML化すれば、システム翻訳が効率的にできるのだという。「単に辞書のように言葉を置き換えるだけでなく、過去の翻訳事例なども参照しながらシステム翻訳できる。XML化によるシステム翻訳を導入することで、翻訳費用は約80%節約できるだろう」と福重氏。製品のグローバル展開はもちろんのこと、この仕組みはウェブサイトの多言語展開にも適用可能だという。

大手製造業におけるDITAの普及と、求められるPLMとの連携

 デジタルコミュニケーションズでは、今後の新たな取り組みとして、PLM(製品ライフサイクル管理)とDITA-XMLの連携を進めていきたいとしている。「企業内の重要ドキュメントの多くがPLMに収まっていると言っていい。そのため、今後はPLMとDITA-XMLの連携が重要なテーマになる」と福重氏は主張する。

 各PLMベンダーも、自社の技術力でXML対応を進めているか、デジタルコミュニケーションズのようなXMLベンダーと連携したソリューションを展開しようとしている。ただ、すでに対応済みだとするPLMベンダーのソリューションは「ユーザーにとって決して十分ではない」と福重氏は指摘する。「現在のPLMはCADデータを中心にした画像系ドキュメントが主で、構想書、仕様書、設計書などのテキスト系ドキュメントの管理連携機能が弱い。PLMベンダーのソリューションのほとんどは、図面と、図面に関連する製造情報が記載されたWordやExcelなどのデータをメタレイヤ層でつないでいるに過ぎず、数百ページのWord文書の中から必要な情報にピンポイントにはたどり着けない。PLMを採用したユーザーが、実際にはXML対応が不十分だったと不満を漏らし始めている」(福重氏)

 例えば、過去には10個のIP(設計資産)で作られていた製品が、今では既存の10万個のIPがからんで作られることもあるという。そのために必要な既存の10万の文書をWord文書から探すのは非効率的だ。「設計や製品開発をいかに迅速に進めるかが企業価値につながるにも関わらず、ドキュメントの作り方が非効率だと迅速な製品開発に結びつかない」と福重氏は言う。

 PLMとXMLを連携するには、PLMの中にDITAのマイクロドキュメントを組み入れて管理する機能が必要になるという。デジタルコミュニケーションズでもこの連携が重要だとして、複数のPLMベンダーと協力体制をとっている。

 福重氏の思い描く世界は、PLMユーザーがこれまでの使い方を変えることなく、PLM内の情報が自動でXML変換され、さらにその文書が分割されてDITA対応となり、メタレイヤを付随して図面の意味を文書の中から探し当てるという構図だ。これが実現すれば、PLMでも文書進化論が成り立つことになる。この進化が現実になるにはまだ数年かかると福重氏は言う。Word文書からXMLへの変換を循環的に実現するソリューションを足がかりとした、同社の今後の取り組みに注目したい。

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