ライカ初のスマホ「Leitz Phone 1」のカメラ性能をチェック--1インチセンサーの実力は - (page 4)

新たなレベルに達した画面内指紋認証センサー

 カメラ以外の部分も見ていこう。SoCは、QualcommのSnapdragon 888 5G mobile platformで、5G通信(Sub6)に対応。RAMは12GB、ストレージは256GBとAQUOS R6とほぼ同様(ストレージが128GB)。フラッグシップに相応しいスペックを備える。実際の使い心地もサクサクで、パフォーマンスは高いレベルにあると感じた。バッテリーも5000mAhあり、カメラを頻繁に使わなければ持ちは良いと感じる。

 ディスプレイは、約6.6インチのPro IGZO OLEDパネル(2730×1260ドット)を搭載。先述の通り両端がカーブするデザインを採用しており、1~240Hz駆動のためかなり滑らかな表示が可能だ。輝度も最大2000nitとスマートフォンのなかでも最高レベルのもので、HDR鑑賞などで効果を発揮する。また、発色も良く色温度もニュートラル。ただし、これはディスプレイのモードを「標準」にした場合の話で、初期設定の「おススメ」だと、個人的には黒沈みが多い寒色寄りの発色だと感じた。

 画面内指紋認証センサーも進化していた。Qualcommの「3D Sonic Max」という技術を用いているのだが、これまでの画面内指紋認証センサーと比べて認識精度が大きく上がったと感じる。スリープ状態からいきなり検知エリアに指をおいてもすぐに認証してログインすることができる。驚いたのは指紋の登録だ。通常の指紋センサーなら、登録時に何度も指を付けたり離したりを繰り返しながら指紋データを生成していくが、Leitz Phone 1では、検知エリアが広くなったおかげか、たった一度のタップで登録が完了するようになった。

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検知エリアが大型化&認証精度が向上した画面内指紋認証センサー。Qualcommの「3D Sonic Max」を採用している

 AQUOS R6と同様、サイドには、スリープボタンと音量ボタンの間に、Google Assistantをワンクリックで呼び出せる専用ボタンを配備。スリープボタンは、ダブルクリックでカメラを立ち上げることもできる。USB TypeCポートは急速充電にも対応しており、PD対応充電器をつなげたところ「急速充電中」と表示された。そのほか、通知のブロックや動作の最適化、プレイ画面の録画といった「ゲーミングメニュー」が登場するのも、兄弟モデルならではといったところか。

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ゲーミングモードが用意されているのはAQUOS R6の兄弟モデルならではか

老舗メーカーの心意気にグッとくる

 2週間ほどの短期使用ではあったが、とにかく老舗のカメラメーカーがスマートフォンを出したという心意気にグッと来た。ライカがスマートフォンを使ったフォトグラフィーに本気で取り組もうとしたからこそ、自社ブランドでスマートフォンを出すという選択を取ったのだろう。また、それに応えようと1インチセンサーやハイスペックを詰め込んだシャープの開発陣にも頭が下がる。

 とはいえ、改善してほしいポイントが多くあるのも事実だ。カメラに関しては、現状ではiPhoneや他のAndroidスマートフォンのほうがより安定して撮影できるのは言うまでもない。ただし、ハードウェアとしてのカメラのポテンシャルは相当に高いと思われるため、今後も定期的なアップデートがあると商品の魅力がより増すだろう。

 そんなLeitz Phone 1だが、ソフトバンク専売モデル(SIMロックフリー)で、価格は税込み18万7920円。一方、兄弟モデルのAQUOS R6はドコモ版が11万5632円、ソフトバンク版が13万3920円。ドコモ版では約7万円、ソフトバンク版は約5万円の開きがある。主な違いは、外装や付属品(レンズキャップ・ケース)、ストレージの容量、カメラアプリのUIといったところで、価格差と天秤にかけるとなるとなかなかどちらかを選ぶのは難しいところだ。

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Leitz Phone 1には「DESIGNED BY LEICA CAMERA GERMANY」との表記がある

 なお、Leitz Phone 1 、AQUOS R6ともに日本専売モデルのため、1インチセンサーを搭載した現行スマートフォンが買えるのは日本だけということになる。特にLeitz Phone 1 は、ライカ初のスマートフォンということで、もしかしたら海外のライカファンからすると喉から手が出そうな一品なのかもしれない。

 カメラ市場はシュリンクを続けており、その理由の一つとしてスマートフォンのカメラ性能の向上があると言われている。さらに、アプリでの加工やSNSへの投稿など、スマートフォンを中心とした新しい写真文化も育っている。こうした状況で、本来は敵であるはずのスマートフォンを自ら出すというのは、ライカが新しい写真文化に寄り添おうとする姿勢の現れなのかもしれないと感じた。

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