なお、国内では、冬に発売を予定している新型「プリウスPHV」のほぼすべてのグレードにDCMを標準搭載し、3年間無償で通信サービスを提供する予定だ。まず、スマートフォンからクルマにアクセスしてクルマの充電状態やエアコンを操作して車内の空調を調整できる「ポケットPHV」を提供する。
さらにクルマの警告灯が点灯すると、トヨタスマートセンターで車両のデータ解析をし、異常要因推定と走行可否の判断、適切なアドバイスを自動的に生成する「eケアサービス」も提供する。担当販売員のサービスアドバイザーやセンターのオペレーターともデータを共有し、リアルタイムにユーザーをサポートする。
このほか、ビックデータからクルマのトラブルを予知し、メールで知らせたり点検入庫を促す「故障予知サービス」も提供予定だ。プリウスPHV向けの4年目以降の料金は、年間1万2000円。レクサスではすでに3年間無償で通信サービスを提供しているが、更新率は7割を超えるという。
トヨタは、こうしたクルマの「コネクテッド化」によって、(1)「つながるプラットフォームの構築」(2)「トヨタ自身のビジネス変革の推進」(3)「新たなモビリティサービスの創出」──の3つを柱に、モビリティ社会の発展とさらなる自動車ビジネスの変革を目指す。
なお、これらの実現に向けてトヨタは、Microsoft、KDDI、米国のカーシェアリングサービス企業Getaroundらとの連携も発表している。
4月には、Microsoftと共同で新会社「Toyota Connected」を、米国テキサス州プレイノに設立した。DCMを搭載した車両から得られるデータの集約や解析、その結果の商品開発への反映などを目的とした合弁会社だ。
今後は「Toyota Big Data Center」の運用と、ビッグデータをさまざまなサービスに活用するための研究開発を進めるとともに、人工知能の研究機関であるTOYOTA RESEARCH INSTITUTE(TRI)とも連携していくとしている。
6月には車両の位置情報から、国や地域毎に選定した通信事業者へ自動接続し、通信状態の監視を総合的に行う「グローバル通信プラットフォーム」をKDDIと共同で企画・設計すると発表している。これまで、トヨタ自動車が各国の通信事業者と契約し、合わせたインフラを用意してきたが、KDDIがアグリゲーターとして入ることでスムーズに進められるという。
また、トヨタは、車内に設置するだけで無改造でスマホによるドアロックの開閉、エンジンを始動できる「SKB(Smart Key Box)」を開発。2017年1月をめどに米国のカーシェアリングサービス企業Getaroundと共同で、SKBを適用したパイロットサービスを共同で立ち上げるとしている。なお、トヨタは投資ファンドを通じてGetaroundに出資すると報じられている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス