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事業継続計画、策定企業増加--内容に不安、自社単独に限界も - (page 2)

田中好伸 (編集部)2013年03月11日 14時31分

 災害や事故などが発生した時の体制設置、被災、被害状況の確認など、いわゆる初動段階の手順については、相対的に高い対策策定状況と説明している。だが、早期に業務を復旧させるための手立てや、リソース不足の際の代替案策定など、応急や復旧する段階での対策策定状況については、逆に低い回答率が得られたという。

 応急、復旧の段階での対策を自社資源に関係する部分と、取引先など外部との連携に関係する部分に分けてみると、後者の取り組みについては対策が進んでいない状況が明らかになったと説明している。

 BCPの策定済み、策定中の回答者に絞って追跡調査してみると、優先業務の選定や目標復旧時間の設定など事業復旧に向けた基本方針、自社の施設や設備の復旧手順や代替策については、対策を実施する企業の割合が増加しており、応急や復旧の段階の対策を充実させる動きが見られるとしている。だが、人的資源や取引先など外部と連携する部分では、ほとんど進展がみられなかったと分析している。

 自社の事業継続対策の中身を、震災後から現在までの変化の有無を聞くと、いずれの対策内容でもおおむね4割弱~5割弱の企業が見直したと回答。中でも“いつまでに、どの程度まで、どの業務や事業を復旧させるか”という目標設定、“ステークホルダーとのサプライチェーンの復旧手順、代替案の用意”、“ステークホルダーとの金流、情報連携などについての復旧手順、代替案の用意”といった対策の見直しが多いとしている。

 事業継続対策を見直した理由は、初動時での「被災、被害状況の確認、連絡手段の策定」や「従業員や職員への退社、出勤などの判断指針」、応急、復旧の段階での経営資源の復旧手順や代替策については、震災を踏まえた検証で課題が明らかになり、対策の見直しが図られている傾向が強いと説明している。

 外部のステークホルダーとの有事の際の連携、コミュニケーションでは、対策内容を見直した理由として「社会情勢などの外部環境変化、外部ステークホルダーの要請で変更する必要性が生じた」とする回答が比較的多かったという。自社内部よりも、自社の被害で影響を受けた外部の当事者からの要請で対策の見直しを迫られている状況がうかがえるという。

 現在、BCPを策定済み、検討中、検討予定としている回答者に、BCPの課題の有無を聞いている。53.1%が策定内容が不十分、策定が思うように進んでいないなどの認識を持っていることが明らかになっている。

図13
現在のBCPに対する課題の認識(出典:NTTデータ経営研究所)

 その理由は「自社単独でのBCPそのものに限界がある(外部からの調達や供給ができなければ事業継続できないなど)」が51.5%と最多。以下、「実効性のある対策を策定するにあたり、自社の拠点や設備だけでは限界がある(単一拠点で事業を行っており、代替となる自社拠点がないなど)」(37.6%)、「BCP策定に必要なノウハウが不十分」(35.5%)と続いている。

 「自社単独でのBCPそのものに限界がある」という課題については、取引先などを含めたBCP策定、または取引先などのBCPと連携したBCPが求められると提言。「自社の拠点・設備だけでは限界」「自社の要員だけでは限界」といった課題では、同業者などとの有事発生時の連携が考えられると説明している。

 調査は、2012年12月21日~2013年1月10日に非公開型ネットアンケートで実施。有効回答者数は1035人となっている。

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