前述の2つはビジネスの顧客を「視聴者」と仮定していました。「テレビ番組」というコンテンツと、「放送」という流通経路が密接にひも付いているためです。流通を分離して考えることができれば一般的なコンテンツビジネスのモデルが応用できるのでしょうが、通常は番組に付随する主な権利をテレビ局が保有するため、自由に何でもできるわけではありません。
ただ、前述した「ひかりTV」のようにVODを前提としている場合や、製作委員会方式で作られた番組などはネットでの利用もある程度想定して作られているため、ソーシャルTVという文脈でも活用しやすいと考えられます。このようなケースでは、もともとマルチメディアでの利用を前提に権利処理されているため、ウェブやモバイルアプリでの積極展開がやりやすく、「放送」以外のシチュエーションで番組というコンテンツが利用しやすいということであり、結果収益機会の増加につながります。また、ソーシャルTVサービスとしては、日本では難しい「非同期型」のサービスを展開しやすくなります。
非同期型とは、テレビ番組のリアルタイム視聴を前提としないソーシャルTVサービスということです。
最初に述べた通り、日本ではテレビ番組は全国同時視聴される割合が高く、チャンネル数も少ないため、ソーシャルTVサービスもその特性を生かしたリアルタイム性の高いもの、つまり「同期型」のサービスが多いです。また、テレビといいつつも使っているのは「テレビを見ている人のツイート」であったりと、番組コンテンツ自体を扱うことはできません。
具体的なイメージでいうと、「同期型」はテレビ番組にリアルタイムで参加するjoinTVのような感じ。「非同期型」はアーカイブされた映像コンテンツをみんなで楽しむニコニコ動画のような感じと言えます。
米国でもintoNOWやGetGlueのように、コンテンツと深く結びついているサービスは調子もよさそうですし、参入障壁が高いという意味でビジネスの足腰もしっかりしています。日本では権利的な問題からなかなか難しいのかもしれませんが、もし何らかの方法でチャンネル横断的な番組コンテンツビジネスがソーシャルやアプリと絡めて実現できればそのポテンシャルは大きいといえるでしょう。
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