またSavage氏によると、Vineは緊急通信の理解に関する新しいモデルを基に作られているという。同氏は「従来のモデルでは、まず警報が鳴って人々を不安にさせる。それから不安を解消する方法が提供される。こういったトップダウンモデルは、問題となる脅威が理解され、当局が信頼され、人々が直観的に振る舞える場合にはうまく機能する」と話す。
しかし、現代はそうはいかない。緊急事態は新しい形態をとり、当局はしばしば信頼されておらず、コミュニケーションには大量のノイズが紛れこむため、トップからのメッセージが突破するのは困難になっている。Savage氏によると、緊急警報に対する反応が直観的なものにならない場合には、周囲が何をやっているか出方を見るという行動になるという。
Savage氏は次のような例を挙げた。ホテルでとつぜん火災警報が鳴ったとしたら、何をするだろうか。たいていの人はドアを開けて顔を突き出す。そしてほかの人が出口へと走っていれば自分も走る。一方、誰も何の反応もしていないとか、あるいはただのんびりと出てきた人がいるだけの場合にも、やはりその人たちと同じ行動をとる。Vineは「開けて辺りを見回せる、おなじみのドアを提供するものだ。われわれが構築するのは、ボトムアップ方式で脇道もあるインフラだ。これによってメッセージが行き渡り、危機的状況でも非線形の情報共有を作り出せる」とSavage氏は語る。
筆者はSavage氏に、Twitterはそのような非線形の緊急通信経路になりつつあるのではと聞いてみた。同氏は大筋でそれを認めつつ、「それも取り入れたいとは思うが、われわれはより進んだ機能を求めている。広まっている情報が何であり、オリジナルが何であるかがわかるようにしたい」と説明した。
突き詰めれば、VineはMicrosoftのビジネスであって、単なる公益事業ではない。あらゆるレベルの政府機関や多くの企業が、緊急応答プログラムに関する予算を設けている。MicrosoftがVineで行う最初の企業的取り組みは、地元の教会、学校、警察署といった「ボトムのアップ」なのだとSavage氏は話す。「これらは市民が本当に信頼している事業体だというのが理由だ」。同氏は、このようなやり方のビジネス構築は困難が大きくなるが(とはいえ、連邦の補助金獲得を試みていたのではなかったかな?)、トップダウンで実施する場合より、この技術が有用なものになると思うと話す。「これは草の根でこそ実現しなければならない」と、Microsoftの緊急応答プラットフォーム責任者である同氏は語るのだった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。原文へ
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