立石:テプラ以外のものであれば、先ほどお話ししたプリンタやラミネーターなど、電子機器に関しては何かしらかかわっています。
田辺:キングジムの電子文具というとテプラが知られていますが、実はほかにもあります。正直言うと、あまり認知がないのですが、そういう意味では、やっとヒットを出したかと(笑)多少打率が低くても、大きなヒットやホームランを狙った開発にチャレンジせよ、と社長も言っています。
立石:弊社の2本柱はテプラとキングファイルですが、いわゆる3本目の柱をそろそろ作れと。日々、なにができるか考えていたところでした。すでに何万回振ったかという感じではありますが(笑)それでも新しいことをやれと言ってくれるのは弊社のいいところですね。
立石:一番最初に出た問題は、これをどこの売り場に持っていけばいいのか、ということでした。開発の途中から営業と話し合い、まずコンセプトシートを作りました。「新しいステーショナリーで、メモ帳なんです。そういうスタンスだからこそ、実際に欲しいと思っている人がいるはずです、ではどこにいるのでしょうか?」と。
答えとしては、家電量販店のUMPCの隣にあってもいいですし、文具という点では伊東屋さんのコーナーの一角でもいいと。
立石:お店によりますが、電子辞書のコーナーもしくはUMPCの売り場にあるようです。だいたい想定していたところにありますね。最終的にはデジタルメモコーナーができればいいのですが。また、ネット通販で買うお客様も増えているようです。
立石:スピネル(尖晶石)です。うちの開発コードは平行している新しい開発製品は、シリーズに沿って開発者が決めるというルールがあります。今回は石シリーズで、アメジストだったり、スピネルだったりと。ただ、営業マンに知らせる段階では正式名称が決まっているので、社内ではあまり浸透しないのですが(笑)
立石:基本機能は、Windowsのメモ帳を踏襲しようと思いました。ただ、パワーがパソコンとは違うので、制限されるところはあります。このユーザーインターフェースの参考にしたのは、モバイルギアですね。ワードやメモ帳を使い慣れている人には、直感的に使ってもらえるかなと思っています。先生はモバイルギアとレッツノートです。開発部長がモバイルギアのマニアで、複数台持っているんです。研究用としてとりあげて、分解しました(笑)
立石:ポメラは10カ月でした。早すぎます、もう2度とやりたくないですね。実は、もっと早くて6カ月という予定だったのです(笑)そのまま押し通していたら、とんでもないことになっていたと思います。テプラをプラットフォームに作ったのではなく、まったく違うプロダクトとしてゼロから作っています。
田辺:普通はまったく新しい製品だと1年半ぐらいです。テプラは、すでにプラットフォームがあるのでおよそ1年ぐらいですね。ただ、ポメラはテプラのようにテープカートリッジだとか、印刷をするというアクションはないですから、難しいところは少なかったのかもしれません。
立石:具体的には、まずデザイナーの部門が監修しつつ、外部のデザイナーと連携してコンセプト出しをします。その中からブラッシュアップして、設計部門と調整し……というところまで2カ月ぐらいでした。そこまでは比較的早く決まりましたね。
これよりも大変だったのは、キーボードです。いかに小さく、かつ打ったときに打ち心地を損なわない大きさにするかに苦心し、キーの幅も17mmか16.5mmかなど検討しました。
ファンクションと数字キーを均等に小さくしたものなど何種類か作り、実際にはどうなのかと、試行錯誤しました。ポメラのキーボードは、金型の図面を起こして、一からつくったものです。
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