中国ケータイは理屈ぬきにオモシロイ! - (page 2)

海外のケータイがおもしろいワケ

 しかしどうして日本にはこんなヘンなケータイがないのだろう?キャラクターケータイなんて日本にあってもよさそうなものではないですか。思うに、その理由は日本と海外の携帯電話ビジネス手法に大きな差があるからだろう。なお、ここで言う「海外」とは事実上の世界標準であるGSM方式と、それの3G規格であるW-CDMA方式を採用した国のことを指す。ちなみにGSMはヨーロッパやアジアなど、北米/日本/韓国以外のほぼ全世界でメジャーな規格である。

 これらの海外ではケータイの規格が統一されたものになっている。ケータイ本体は各メーカーが同じ規格品を製造するので、携帯電話事業者=キャリアとは無関係にメーカーブランドで販売がされている。日本ではドコモのケータイ、auのケータイ、のようにキャリアが異なればケータイも異なるのが、海外ではNokiaのケータイ、Samsungのケータイのようにメーカー名で呼ぶのが普通になっている。そして自分のキャリアのSIMカードを好きなメーカーのケータイに入れて使うことができるのだ。

 そのため日本ではケータイの購入とは携帯電話販売店や量販店でキャリアと契約して買うことが基本だが、海外では「家電店で単体でケータイを買う」のも当たり前になっている。すなわち家電製品そのものであり、機種変更(という言葉も実は海外にはない。概念が違うからだ)も自分の使っているSIMカードを入れ替えるだけで即完了するわけなのである。

 海外では家電店の店頭に大量のメーカーブランドのケータイが並んでいるし、ケータイマーケットのようなところに行けば輸入品から中古品まであらゆるケータイが売られている。そんな状況で「売れるケータイ」を作るのはメーカーにとってはものすごく大変だ。

 大手メーカーなら機能や品質、ブランド力で常に優位に立てると思いきや、ここのところのモトローラの不振のようにユーザーのニーズに合った製品をリリースできないと、あっという間に他社にパイを奪われてしまう。

 中小のメーカーが“ヘンなケータイ”を出してくるのも、片手間や手抜きではなく「どうしたら売れるのか」を必死になって考えた結果である(どう考えてもそうは思えない製品もたくさんあるが……)。この「必死さ」が時には空回りしたりもするのだが、それはそれでまたおもしろいケータイだったりするからたまらない!

ケータイマーケットの例。家電、いやむしろ腕時計的な売り方と考えたほうがわかりやすいかもしれない。とにかくケータイ単体が大量に並べられて売られている ケータイマーケットの例。家電、いやむしろ腕時計的な売り方と考えたほうがわかりやすいかもしれない。とにかくケータイ単体が大量に並べられて売られている
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コピー製品の現状は?

 ところで中国と言えばなにかと「コピー」の話が出てくるわけだが、やはりケータイにもコピー品やそっくりさんが多数出ている。もっとも、これらはきちんとしたメーカーからは出ていないし、中国の街中でもキャリア店舗やチェーン店の家電店では販売されていない。どちらかといえば怪しげな商店街などで売られていることが多い。

 「ケータイまでコピーしてしまうのは困りものだし、法的には許される行為ではない」というのはそのとおりである。だが、見方を変えると、それだけオリジナルのメーカーや製品が魅力あるものということでもある。だって、誰も見向きもしない製品のコピーなど作っても、それこそ誰も買わないのだから。

 大手メーカーのそっくりさんケータイが多数売られている光景を目撃してしまうと、ヤバイと感じながらも興味深いものである。今話題のiPhoneも、1年前から類似製品が山のように出ている。おかげで今ではiPhoneそっくりケータイなんて珍しくとも何ともない、フツーの製品になっているのが中国の現状だ。

ちょっとヤバイ系もあるコピー/そっくりケータイたち ちょっとヤバイ系もあるコピー/そっくりケータイたち
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 このようにおもしろさに溢れているのが中国や海外のケータイだ。それらを今後定期的に紹介していくのがこのコーナーである。中には「トホホ」と思える失敗作などもあるだろうが、それを一生懸命考えて製品化した開発者たちの「あだ花」ともいえる努力の結果を記録に残しておくことにも意味があるだろう。

 そんなわけで次回は普段タバコを吸わない筆者がケータイのおかげでタバコを買ってしまった、なんて話しに続く予定である。

山根康宏

携帯電話研究家。メーカーの香港駐在員時代に海外携帯電話に興味を持ち、2003年に独立して現職となる。香港を拠点にフリーランスとして活動中で、世界各国の携帯電話事情を日々追い求める毎日である。日本と海外の携帯電話ビジネスの違いなど、海外在住者ならではの視点による記事やコラム、書籍などをオンラインメディアなどに執筆している。また海外進出を考える企業向けにコンサルティング活動も行っている。

2001年から本格的に収集を開始した海外携帯電話のコレクションは現在500台を越える。香港に私設の海外携帯電話博物館(仮称)を設置するほどの携帯電話好きでもある。展示会取材などで世界各国を回る際も現地で携帯電話を実際に購入してみるなど、各国の体験レポートなども得意としている。個人サイトは「香港携帯情報局」。

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