さらにFTCは合併を審査するときには競争面の問題のみを検討すると述べているが、プライバシーの擁護者や議員らがこの合併提案をめぐる議論に加わり、両社が合併した場合はGoogleがユーザーの個人情報という宝の山を手にして、場合によってはプライバシー侵害を犯し、ユーザーにターゲット広告を届けるためのより効果的な手段を手にするという意味で不正な優位を得るのではないかとの懸念を示した。
買収提案が発表されてからの連邦議会の反応もさまざまである。独占禁止法を監視する米上院委員会は2007年秋にこの件について聴聞会を開き、その席でGoogleとMicrosoftの社内の最高法律顧問が公に論戦を繰り広げたが、出席した一部の政治家は中立の立場を守ろうと協力した。しかし数カ月後、共和党の下院議員らが1度ならず2度も、表向きは合併が消費者のプライバシーに与える影響について公に懸念を表明した。一方、民主党の下院議員のリーダーらは2007年内に独自の聴聞会を開ける状況にはない。
同じように合併提案を綿密に調査している欧州委員会は、2008年4月2日に裁定を下す前に合併に関連するプライバシーの問題を検討する聴聞会を開く予定だと最近発表した。
欧州の規制当局は必ずしもFTCの決定に左右されるとは限らない。例えば2001年にはGeneral ElectricがHoneywell Internationalを買収する計画を発表した。この合併計画は、米国の独占禁止規制当局は承認したが欧州の規制当局によって阻止された。両社は、合併後の企業が世界のある地域で事業を展開しながら別の地域で自粛するのは困難であるとの理由から最終的には合併計画を白紙に戻した。
FTCは声明の中で、消費者のプライバシー問題は「GoogleとDoubleClickに特有の問題ではなく、オンライン広告市場全体にかかわる問題だ」と述べている。
FTCは多数決による決定で、「独占禁止にかかわっていない今回の合併に条件を課す」だけの法的権限が存在しないと指摘し、さらに「わずか1社だけのプライバシーの必要条件を規定することは、それ自体が、この広大で急速に進化している業界における競争を深刻に阻害することになりかねない」と付け加えている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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