ウェブ開発ツールFirebugの生みの親、Facebookでは何をやる? - (page 2)

文:Miriam Olsson 翻訳校正:吉井美有2007年09月12日 08時00分

―Parakeyでの計画は将来実現するのですか。

 もしFacebookがわたしたちにしたいことをさせてくれれば、起こると思います。Facebookは活用できるネットワークを与えてくれており、これは確かに大きな利点です。単に、母親たちにFacebookに参加してもらえればいいのですから。

―Firebugには、Parakeyと同時に取り組んでいたのですか。

 実際FirebugはParakeyから生まれたもので、わたしたちがFirebugを作ったときには、それは最終目標ではありませんでした。FirebugはParakeyを作るのを支援する手段だったのですが、その過程でわたしは、これをリリースしたら多くの人の間で人気になるだろうということに気づきました。そこでFirebugに時間を取ることに決めたのですが、これはおそらくParakeyを犠牲にしています。わたしはリリースのための時間を割いて成果を無償で提供しましたが、この判断はよかったと思います。少なくとも、Firebugは多くの人を幸せにしましたし、これを使って素晴らしいことが行われています。

―なぜ商品にしなかったのですか。

 それについてもしばらく検討しました。作っている間、これはおそらく売ってお金に換えられるだろうと予想していました。しかし、最終的にはParakeyでやっていた事業を開発ツールにはしたくありませんでしたし、事業としてFirebugを中心に据えたいとも思いませんでした。無料で誰もがこれを使えれば、より大きな影響を与えられるだろうと感じていました。結局、Firebugは日用品のような存在になりました。現在、Firebugのようなツールを売ろうとしている企業が多くありますが、彼らの市場は非常に小さいものです。そのニッチな市場でも、収益は上げられるのかもしれませんが。わたしは、収益を上げるよりはむしろ多くの人に影響を与えたいと思いました。わたし自身はもう6カ月ほどFirebugの開発には触れていませんが、Firebugを二次提供者にリリースしています。今はGoogle Codeに載っていて、何人かが実際にこれを引き継いでいます。彼らはわたしがいなくても積極的に開発を続けています。彼らは新しいバージョンに取り組んでおり、もうすぐリリースされるかもしれません。

―他にも、ユーザに無料で提供しているものがありますね。iPhoneのiUIがその例です。

 iUIは楽しい出来事でした。わたしは今でも、こんなに多くの人がiUIを使っているのを信じられません。これは、一晩で作ったものなんです。iPhoneDevCampでみんなが夢中になっていて、わたしは「一体何が起こってるんだ」と言ったくらいです。その前の晩にiUIを作りました。終わったのは朝の4時で、寝てしまう前にそれをGoogleグループにアップロードして、「これです」という短いメモを付けました。そして次の朝目覚めたら、あらゆるところで使われていたんです。わたしはiUIを完成もさせませんでしたし、練り上げもしませんでした。多くの人が使うソフトウェアをリリースするときに、通常気をつけるようなことは、まったく気にしていませんでした。ただ、多くの人がそれを大変欲しがっていて、iPhoneが驚くべき、刺激的な新しいものだったために、iUIを使ったんでしょう。

 今ではAppleもiUIを宣伝していて、人々にこれを使うようにと言っています。もしかすると、彼らは何か似たようなものを作っている最中で、今は誰かが作ったiUIを使うようにと言っておいて、近いうちに自前のもっと大きな製品でこれを置き換えようとしているのかもしれないと思います。わたしにはわかりませんが。

―多くの人が、これはAppleがやるべきことだったと言っています。

 実際、わたしもAppleがやるものだと予想していました。それが、わたしが標準のiPhoneフレームワークを作り始めなかった理由です。Appleが次の週にでも同じようなものをリリースするかもしれないと思っていたので、その週末のDevCampのためと自分の一種の楽しい実験のために、手早く作っただけでした。あれから1カ月半経っていますが、まだiUIしかありませんね。

―iPhoneは、Facebookに参加してからも、あなたの活動の中心にありますね。

 わたしがここに来て2日目、わたしは自由にFacebookの使い勝手について自由に掘り下げて調べることになっていました。しかし、これまでiPhoneの開発にのめり込んできたので、iPhoneのためのFacebookを作るのは筋が通っていました。わたしは絶えずFacebookを使っていますが、iPhoneからのFacebookの使い勝手は煩わしく、サイトを使う際には横スクロールや縦スクロールをさせなくてはなりませんでした。そこで、これをやればいいじゃないかと思ったのです。最初はどこまでやるか決めていませんでした。写真の閲覧と自分の状況の更新ができる基本的なものを作り、数日間自分で使ってみたのですが、おもしろくて夢中になりました。これまでのiPhoneのサイトの多くは、全体的なウェブサイトの小さな断片に過ぎません。DiggやESPNがそうです。それに対して、ユーザーが普段Facebookでやることの95%は、iPhoneでも可能です。もし時間さえ許せば、残りの部分もなくせるでしょう。

―あなたのプロジェクトのサービスが始まったわけですが、次はどんなことをするのですか。

 わたしはあまりプラットフォーム側の人間ではありません。Facebookのサイトのユーザー体験全体に興味があります。Blakeとわたしはどちらも、サイト全体にわたって、どの部分は少しの手直しでよくてどの部分に見直しが必要かを見ています。わたしは現在この作業に集中しています。少なくともしばらくは、プラットフォームの細部についてはあまり時間を割かないでしょう。もっと多くのことが言えればと思いますが、こんなに自分のやっていることが他人の注目を浴びる会社で働いたのは初めてです。Netscapeにいたころは、何をやってもオープンソースで、わたしのやっていることはみんなわかっていました。Facebookでの、常に周りから見られている感覚は変なものだと思いますが、これはわたしがAppleの噂サイトを見ているようなものでしょうね。誰もが、Appleが何をやっているかを憶測するのが大好きで、わたしはそれを読むのが好きです。そして、わたしはいつも誰かが何かヒントを落としてくれないかと思っているんです。

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