隅井 TP1のコンセプトが固まってからの方向性や足並みは揃っていましたからね。
政光 TP1は強烈な個性を持つデザインですが、そのエッジ、色、ラインなどのデザイン言語を、各デザイナーが「暗黙のルールブック」として捉えることで、統一感がとれたと思います。極力要素を入れないようにボタンを減らしたり、LEDを1本のラインに収めたりというTP1の言語が、WA1のエッジの効かせ方につながったりしましたね。
隅井 さまざまなライフスタイルを形作る機器の中心という意味もTP1にはあるんですよ。デザイン言語の中心であるだけでなく、実際のデザインの形状としても360度を見回せる「丸」、そして家の中心「リビング」で使う存在でもある。さまざまな「中心」の概念を示す意味からも、TP1のキーワードを一つあげるなら「concentric(同心)」になるかと思います。TP1を中心に、各製品が放射状につながっていく感じです。
隅井 「こんな風にしていくべきでは?」とアイデアを出したにすぎませんが……。そのアイデアを事業部の人々が理解してくれたことが大きかったですね。
政光 製品企画の根幹までは踏み込めませんけれど、発売時期がバラバラになるとシナリオに違和感が出ますよ、などという意見は出しましたね。
隅井 まずTP1に必要な基板と部品を、A4サイズ、430mmワイドなど、いわゆるPCサイズに収まるように図面を描いてもらいました。それと平行してデザイン面では「PCの小難しさを和らげるデザインってなんだろう?」と……。海外のマーケットも調査したのですが、アメリカではTV用PC市場が現在低迷しているんですよ。向こうのTV用PCって、いわゆる長方形のデッキ型がほとんどで、パッと見、DVDプレーヤーやビデオデッキに見えてしまう。そういったデザインだとユーザーには「デッキに見えるのになぜこんなに高いの?」といったマイナスの驚きを与えてしまうんですね。こうした現実をふまえた上で、これまでと同じようにデザインしていいのかな、と。
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