MySQLへの関心は大きく膨らんでいる。Linuxの普及に貢献したアプリケーション開発者らは、MySQLにますます親近感を抱いている。Evans Dataが発表した今年1月の報告によると、MySQLを使用するアプリケーションの数は、昨年30%増加した。一方MicrosoftのSQL Serverの成長率は6%だったという。AMR Researchは技術専門家らを対象にした調査結果を踏まえ、オープンソースデータベースの利用は現段階では実験的だが、2006年には主流になるだろうと述べている。
MySQLは特に価格面で、データベース市場全体にも影響を与えている。「近い将来MySQLが他のメーカーにとって代わるということはなさそうだが、大手商用データベースメーカーらにプレッシャーを与えることは間違いない」とForrester Researchのデータベース専門アナリスト、Noel Yuhannaは述べている。
Oracleは最近Oracle 10gデータベースを値下げしており、他のデータベースメーカーもこの値下げの動きに追従しそうだとForresterのYuhannaは言う。Oracleは、自社のデータベースを規模の小さな組織にアピールするには、価格を引き下げる必要があったと述べている。
Oracleのグローバル価格・ライセンス担当バイスプレジデントJacqueline Woodsは、同社が2月に10gデータベースの値下げを発表した際、次のように述べていた。「われわれは必ずしもオープンソースと競合しているわけではない。しかし、われわれはローエンド市場にはまだ浸透していないと感じており、この市場への参入にあたってわれわれには複数のアプローチ方法があることは明らかだ」
一連の新機能Gartner Dataquestによると、2003年のリレーショナルデータベース市場全体の規模は85億ドルと推定されており、MySQLの年間売上1200万ドルは市場全体から見ればごくわずかだ。またMySQLは、顧客の数が増えるのにつれて、事業を拡大する上でいくつかの問題に直面している。
「商用データベースの顧客は、(24時間)サポートでトラブルを即解決することに慣れてしまっている。したがってMySQLはこうした要求に応じられるよう、サポート体制を強化しなければならない」とForresterのYuhannaは言う。
今後もMySQLに企業顧客をターゲットとした機能が追加されていけば、商用もしくはソース非公開のデータベース会社のハイエンド機能と競合するだろう、とアナリストらは述べている。
既報の通りMySQLが通信プロバイダEricssonから買収したクラスタリング・ソフトウェアも、こうした機能の1つだ。これは、あるデータベースが故障した場合に1秒未満で対応できる、非常に安定度の高いデータベース基盤を企業に提供するものだ。
MySQL Clusterは第3四半期に、「従来のソリューションよりもかなり低い価格」で発売される予定だとUrlockerは述べている。同社はまた、ソフトウェアメーカーがMySQLデータベースをアプリケーションに組み込んだり、システムインテグレーターや付加価値再販業者(VAR)などの提携企業がカスタム開発製品の一部としてMySQLを再販したりすることを狙った、提携プログラムの詳細を発表している。
MySQLの急速な成長が、MicrosoftのSQL ServerやLinux OSなどの大規模な成功の域に達するかは、まだ分からない。しかしCEOのMickosの言葉が正しければ、MySQLはデータベース市場の規模を拡大し、ホンダシビックのようなありふれた製品がハイエンドのメルセデス・ベンツと同等、もしくはそれ以上に使われるようになるだろう。
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