現状、日本においてはマーケティングに関する全社的な統括責任者CMO（Chief Marketing Officer）と呼ばれる役職者は少ない状況だと思います。しかし、どのような肩書きや立場であれ、先進的な取り組みをしている企業において、戦略的にマーケティングを考え、実行し、そして企業の成長に貢献している人物がいるはずです。今回のCMOアワードでは、そうした人物やマーケティング戦略を経営に活かして実績をあげている企業を選出して、表彰およびディスカッションすることで、企業におけるマーケティング戦略の重要性をいまいちど提起するとともに、CMOやマーケターの意義を訴求していきます。
1）アドバイザリーボードのメンバーにより、マーケティング活動が収益や実績につながっている企業や、その戦略を立案、活動を統率した人を企業規模や役職を問わずノミネート。
2) ノミネートした企業・人に対して、幅広く企業のマーケター関係者にクローズドで投票していただき、3人を選出して表彰。
CNET Japan Live2013会場にて表彰式及び、受賞メンバーによるパネルディスカッションを行います。
慶應義塾大学大学院経営管理研究科・慶應ビジネススクール
1987年関西学院大学商学部卒業、1989年同大学大学院商学研究科博士課程前期課程修了、1992年同後期課程単位取得退学、1996年Ph.D.（経営学）（カリフォルニア大学ロサンゼルス校）。関西学院大学商学部専任講師、助教授、教授を経て、2006年慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授。
CMOアワードの選出にあたっては、テクノロジとイノベーションを重要視させていただきました。ただし、テクノロジだけでもイノベーションだけでもだめで、その統合性が重要だと思います。マーケティング戦略のためのマーケティング戦略ではだめで、すなわち、企業の競争戦略や成長戦略のためのマーケティング戦略でなければならないと思っておりますので、その点においてテクノロジやイノベーションがうまく統合されて、さらにそれが企業戦略と結合されて収益につながっていなければなりません。
そういう意味において、こうした戦略を結合や統合することがCMOの果たすべき役割だろうと思っております。ノミネートさせていただいた企業は、すべてすばらしいマーケティング戦略を実践している企業ばかりですので、たぶん読者のみなさんにも、今後のマーケティング戦略構築において、多くの示唆を与えてくれる事例だと思っております。
東京大学理学部情報科学科卒業後、電通に入社。日米の大手自動車、食品、IT企業の戦略実施担当。特にグローバルにて「インテル・インサイド」のオリジナル戦略具現化により米 インテル社より表彰。その後、べリングポイント(現プライスウォーターハウスクーパース)に戦略部門ディレクターとして抜擢された後、2007年にCMOワールドワイド株式会社を設立。現在は、The Jim Stengel Company.LLCと協力関係にあり、さまざまな企業にグローバルにて、経営、ブランド、マーケティング、CSR戦略構築、インド進出支援のアドバイザリーを行う。
イリノイ大学大学院コンピュータサイエンス学科修士課程修了。
立教大学ビジネススクール講師などを歴任
CMOアワードにおいて選出した企業やその取り組みで重視したのは、データ管理や処理に優れており、もう一方では顧客やユーザーといったターゲットを徹底的に分析して、その行動や態度をきちんと理解している点です。どちらかに偏らず、両面をバランス良く取り組んでいるということです。
CMOに求められることは、社内の組織に対して横断的に働きかけるという面がありますが、なによりもさまざまな場面でリーダシップを発揮することが重要だと考えます。最近は「ビッグデータ」が話題になって、データの方ばかりに目が行きがちですが、「ビジネス・アーティスト」とでもいいましょうか、つまりコンシューマーのビヘイビアを直感的につかみ、それを収益につなげていくことがもっとも大切だと思います。そうしたことを実践している企業や人を選出しました。
株式会社mediba CMO 兼 株式会社スケールアウト取締役 CMO。2013年1月スケールアウト入社、CMO就任。広告プラットフォームとしてDSP／DMP／第三者配信／タグマネージメント等を統合提供可能なScaleOutAdPlatformサービスのサービス開発、マーケティングを担当。2013年8月medibaのスケールアウト買収に伴いmedibaのCMOに就任。同社のアドテクノロジー、マーケティングの強化を推進。海外アドテクノロジーイベントへの参加多数、海外アドテクノロジー企業の情報にも精通。マーケティングのデジタル化を啓蒙するため、執筆、講演活動を積極的に行う。著作に「DSP/RTBオーディエンスターゲティング入門ビッグデータ時代に実現する「枠」から「人」への広告革命」「顧客を知るためのデータマネジメントプラットフォームDMP入門」等
近年、マーケティング戦略の重要性が一段と増していますが、マーケティングドリブンの組織を持つ企業は決して多くないのが現状です。米国のようにCEOがクリエイティブ、消費者へのコミュニケーションにコミットしない日本では、マーケティングを統括するCMOの存在が必要不可欠と言えるでしょう。CMOとチームが自ら「メディア（媒体）」となり、多様化する社外環境への対応と社内連携強化するためのコミュニケーションを取る必要性も増しています。デジタルでは、より数値化されたロジカルな側面とその課題を解決するアートの側面を併せ持つ人材やチームを持つ事で改善のスピードを上げていく事が可能になってきています。
「全社員がプロデューサー」を目指すmedibaは、マーケティング活動の支援・推進をテーマとした本イベントに主旨賛同し、これに積極的に参加することで、企業の新しい価値の創出、およびデジタル時代におけるベストプラクティスの提供をめざします。
朝日インタラクティブ株式会社 CNET Japan編集長
「日本にCMOは生まれない」「必要ない」などという声が聞かれる半面で、「そんなことを言っていても始まらない」という声もあります。CMOという呼び名や肩書きだけで言えば、同じようなことはCEOやCIO、CTOなどにも言われてきたことではないでしょうか。
たしかに、現状でCMOの肩書きを持っていらっしゃる方は少ないでしょうが、どの企業にもマーケティング戦略を考える方はいらっしゃるでしょうし、それを経営戦略と合致させて収益につなげるため、社内組織に働きかけている方もいらっしゃるでしょう。CMOという呼び名は別にして、こうした取り組みをしていらっしゃる方や実践している方を「CMOアワード」という形で選出しました。こうした方々にフォーカスを当てることで、企業のマーケティング戦略のさらなる重要性や、その戦略を企業の中でどのように動かしていくべきか実践させていくべきかを訴求していきたいと考えています。
