新型コロナウイルスの発生を受け、空気や水の環境が見直されている。生活に欠かせないこの2つに徹底的に取り組み、清潔で安全な空気と水を提供しているのがパナソニック エコシステムズだ。
本社を構える愛知県春日井市の敷地内には、空気調和の4要素である温度、湿度、清浄度、気流を比較体感できる「IAQ Labo」を2017年にオープン。2019年には、オフィスや店舗、ホテル、学校、病院などの非住宅空間における空気質、水質の新たな価値を提案する「Reboot Space I」を設けた。そしてこの11月には、小型クローズ空間として「Reboot Space II」を新設。エアコンや空気清浄機といった設備をパッケージ化して、機器は見えないのに快適空間を作り出すという新たなチャレンジを始めた。
Reboot Space Iは、空気と水を光、音、映像などと連携し、新たな体験価値の創出を目的に設置。第1弾では、気流と香りを映像に合わせて制御し、視覚に加え、触覚、嗅覚にも訴えかけることで、その場にいるような臨場感を体験できたり、スリット状の吹き出し口からゆらぐ風が流れ、水の流れとともに自然感を得られるなど、心地よい空間を提案。気流と香り、光の制御により集中力をサポートしたり、空気に、除菌力のある次亜塩素酸を含ませて、オープンな空間における安心空間を作り出したりと、空気を変えることで、得られる快適性を存分に体感できるスペースになっている。
新たにオープンしたReboot Space IIでは、そうした心地よい体験を、設備を意識せずに実現するというもの。エアコンや空気清浄機などの機器は一切見当たらず、技術をパッケージ化することで快適で広々とした空間を作り出す。
パナソニック エコシステムズでは、Reboot Space IIの前段階として、社内に「Green Cafe」と呼ばれるフリースペースを用意。以前は喫煙所だったスペースを、従業員の健康増進と生産性向上を促進する場へと生まれ変わらせた。
喫煙所時代は、天井に9台の天埋換気扇と、2カ所の給気口、ドアや窓などに設けた通気口である「ガラリ」を8カ所に備え、タバコの煙の排出と換気をしていた。自然に給気し、機械で排気をする「第3種換気」と呼ばれるもので、日本のオフィスでは多く採用されている。
Green Cafeの開設にあたっては、給気口とガラリ、換気扇のすべてを閉じ、熱交換気を2台設置。機械で給排気する「第1種全熱交換形換気」へと変更した。熱交換気による省エネと、第1種換気による確実な換気を実現するとともに、室内に取り込む空気量を変えず、排出する空気量を減らすことで、室内の空気圧を高め、花粉やPM2.5などの粉塵の侵入を抑制できることが特徴。室内外の温度差が小さいときは、給気風量はそのままで排気風量を絞り、外気温が室内の温度より低くなるときは、すき間風などの自然換気を増やすことで、消費電力を抑えるといったメリットもある。
熱交換気のほか、空気清浄機や次亜塩素酸 空間除菌脱臭機「ジアイーノ」、除湿器、加湿器を室内に備え、換気、循環を徹底。室内空質は「IAQモニター」を使って見える化する。
これらの機器により、Green Cafe内は年間を通して安全、安心で快適な室内空質を実現。しかし、これだけの機器を置かなければ、この空質空間は作れないとも言える。
Reboot Space IIは、Green Cafeの空質空間を、目に見える設備なしで実現しているスペース。屋内のオープンな空間における局所的な空質コントロールだったReboot Space Iに比べ、IIでは、ホテルの室内や個人向けスポーツジムなど、小型クローズ空間全体の空質コントロールができる。
Reboot Space IIには、急な温度変化のない空調と空質制御パッケージを用いて、静的で気流感のない空調を体感できる「Air Hospitality」と温度・湿度・気流と香りをコントロールし、瞬時に空質を作りあげる機器をパッケージ化し、VR空間ソリューションを実現した「Air Creation」の2つを用意。それぞれがクローズな空間だ。
Air Hospitalityはホテルの室内を意識したベッドルームになっており、天井の「面気流ユニット」から柔らかい気流が発生し、室内に届ける仕組み。面気流は誘引気流による乱れの少ない気流として室内に届くため、急激な温度変化を感じづらく、爽やかさもプラスできるという。気流を調整することで体感温度も変わり、体に優しい空調を実現する。
室内には面気流ユニットのほか、熱交換気ユニット、次亜塩素酸生成ユニット、調湿ユニットなどを「空質制御パッケージ」として天井など見えない場所に設置。エアコンや空気清浄機などの機器は視界に入ることなく、快適な空間を作り出す。
極上の空質空間を作り出すユニットに映像、音響、光、IoTを組み合わせた空間がAir Creationだ。プライベートジムを模した空間になっており、大画面ディスプレイの前にフィットネスバイクを設置。ディスプレイの左右には、風が流れてくるスリットがあり、そこから、風や香りが出てくる。フィットネスバイクを漕ぐと、目の前のディスプレイの景色も同時に動く。加えて、風や香り、湿度や気流といった自然の環境が再現され、あたかも外気の中を走っているかのような環境を室内で作り上げる。
風や香り、湿度、気流は、空間連動制御を使うことで、映像に合わせてコントロール。下り坂では風を感じ、上り坂ではペダルに負荷がかかる。海沿いを走る時は潮の香り、木立を抜ける際は森の香りを再現する。
映像に合わせて空質を瞬時に切り替えられるのは、複数の空質デバイスで構成される「空質瞬間切替パッケージ」による効果。映像、フィットネスバイクの動き、室内空間が統合的に連動することで、今までにない臨場感を体感できる。
パナソニック エコシステムズでは、気流で心地よい空間を作り出すAir Hospitalityを会議室やロビーなど、人が多く集まる場所、Air Creationをスポーツや散歩さらにはeスポーツなどに活用できるのではと今後の展開を見据える。
抗ウイルス、抗菌が身を守る術の1つとなっている現在。清潔で安心な空気環境を、パナソニック エコシステムズは、その存在すら感じさせず作り上げる。