CEO の対談で語られたDX成功へのヒントローコード開発プラットフォームでシステム内製化したCEOが語った
「二人三脚型」のシステム開発とは?

 

企業の生産性を高める手法として、ローコード開発ツールによるアプリ開発の内製化や、開発会社との協働によるアプリ開発の内製化に注目が集まっている。以前はプログラミングが必要で外部の開発会社にアウトソーシングしていたケースでも、今やローコード開発ツールを活用することにより、少ない学習コストでシステム構築が可能な時代になっているのだ。

 

ローコード開発ツールの多くは、マウス操作やそのツール独自のスクリプト、もしくは最小限のコーディングで業務アプリケーションの開発やワークフローの構築ができる。また他のアプリケーション、データベースなどと連携することも可能だ。社内で開発することでコストを抑えながら、短期間でPDCAを繰り返し、本当に自分たちにとって使いやすいアプリを開発する。現場の意見を迅速に反映しながら発展・拡張し、業務効率化を実現していく。

 

このローコード開発ツールで自社システムを内製化することで、スタッフの業務効率向上だけでなく顧客の満足度向上も実現したのが、東京都世田谷区にある会員制スポーツクラブ「Aqua sports & spa」だ。同施設を運営する 株式会社ザ・スポーツコネクションのCEO 除野健男氏が自らClaris FileMakerを学習し、会員管理システムや社内業務システムを開発・連携している。

 

都内有数の人気スポットである二子玉川という好立地にある同施設は、多数のトレーニング機器が並ぶジムや50メートルプール、シミュレーションゴルフにラウンジまで備え、地下1350メートルから汲み上げているという温泉も利用できる。トレーナーによるデータをもとにしたきめ細やかな会員サポートを特長としている同スポーツクラブだが、FileMakerを使うことでどのように業務改善を果たし、顧客満足度を向上させたのだろうか。製品を提供するClaris 米国本社のCEOであるブラッド・フライターグ氏が来日訪問し、除野氏と対談した。

Claris International Inc.
CEO ブラッド・フライターグ氏
株式会社ザ・スポーツコネクション
代表取締役CEO 除野健男氏
株式会社未来Switch(Clarisパートナー)
代表取締役 片岡達博氏

30年の時を経てFileMakerと「再会」、内製化のしやすさに魅了される

フライターグ氏

 本日は、このようなすばらしいスポーツクラブを隅々まで見学させていただき、ありがとうございました。また、そこで私どものFileMakerをフルに活用しているところも見ることができ、感謝するとともに誇りにも感じています。パーソナライズされたデータをもとに、会員個人個人にマッチしたエクスペリエンスを提供していることがよくわかりました。

除野氏

 我々のスポーツクラブは顧客体験をユニークなものにするために、きめ細かいオペレーションをしています。以前から事務作業や会員の管理などに多くのクラウドサービスやパッケージアプリケーションを使ってきたものの、それらでは不十分で、その細かい隙間を埋めたり、つなげたりして、いかにシームレスなシステムにしていくべきか、というのは大きな課題でした。

 最適なツールがなかなか見つからず、何かないかと思っていたときに、2019年に東京の虎ノ門ヒルズで開催された「FileMaker カンファレンス」に参加させていただきました。FileMaker自体は30年前、学生の頃から知ってはいたのですが、改めてそのカンファレンスでFileMakerの良さに気付くことができました。自分でシステムを作ることができ、それを運用していく体制も自ら築けるのは、大がかりなシステムを外注しにくい我々のような小さな会社にとってはありがたいことです。(FileMaker カンファレンス = 現在 Claris Engage Japan に名称変更。2023年は11月8日から虎ノ門ヒルズで開催、事前登録受付中)

FileMaker カンファレンス 2019で キーノートスピーチに登壇するフライターグ氏
FileMaker カンファレンス 2019で キーノートスピーチに登壇するフライターグ氏
(画像をクリックすると YouTube でセッションの動画が視聴できます)

フライターグ氏

 当社のカンファレンスが、お役に立てて本当に良かったです。除野さんはFileMakerを使ってご自身でアプリケーションを作っているそうですが、その目的は会員のエクスペリエンスを高めることなのか、それともスタッフの生産性を上げることなのか、どちらなのでしょうか?

除野氏

 両方ですね。たしかに最初は会員の方々のエクスペリエンスを高めるところに重きを置こうとしていました。しかしいざアプリケーションを作ろうとすると、そこに行き着く前に、社内にある既存データの整備や、システムの標準化が必要でした。それこそスタッフが日常業務のなかで感じているペインを取り除かないと、アプリケーション開発という次のステップに進めないことがわかったんです。

 ですので、当初思い描いていたような会員1人1人のトレーニングを管理するシステムを作り、サービスとしての価値を高めようと思っていたことを実現しつつも、どちらかというと今はスタッフの日々のオペレーションを楽に、効率的にするためにアプリケーションやシステムを作る、という考え方で進めています。スタッフのオペレーションが少なくなれば、その時間を会員とのコミュニケーションにも充てられますからね。

「二人三脚型」の開発から始めて、自立していける仕組み

フライターグ氏

 2019年の FileMakerカンファレンスに参加されたとのことですが、FileMaker導入の決め手となったのは何だったのでしょうか?

除野氏

 僕はかつてアクセンチュアなどでエンジニアの仕事をしていたこともありますが、20年以上自分の中でテクノロジーに関する知識をアップデートしていなかったので、まずはカンファレンスに参加して最新の情報を得ようと思ったんです。本当は1日だけのはずが、結局、会期の3日間毎日ずっと通ってしまったんですけど(笑)。コンピューターの仕組みについてはある程度理解していたおかげで、FileMakerを使って何をどうすれば、何ができる、といった道筋が講演などを聞くことで明確に見えたのが、やはり大きかったと思います。

 その時はリアルなカンファレンスでしたから、ブラッドさんのキーノートスピーチも直接聞けましたし、Claris パートナーで具体的な導入相談に乗っていただけた株式会社未来Switchの片岡さんと出会うこともできました。FileMakerの導入を決意したのは、そんなふうにカンファレンスに参加して得たものがとても多かったからだと思います。

フライターグ氏

 私のキーノートも聞いていだき、ありがとうございます。素晴らしい出会いがあったことはリアルなカンファレンスの貴重な体験です。

 片岡さんは Clarisパートナーとして、FileMakerを効果的に活用する新しいお客様を次々に発掘されています。そのノウハウはどこにあるのか、教えていただけますか。

片岡氏

 お客様がFileMakerに興味をもっていただけることは、たくさんあります。ただ、FileMakerによる開発が「難しそうだな」と思われて敬遠されそうになることもあるんです。でも私たちはそこで「難しそうに見えて、実は簡単なんですよ。まずはチャレンジしてみませんか」というようにおすすめしているんですね。

 一般的な受託開発でシステムを納品することも多いのですが、それとは違ってお客様と一緒に開発していく「二人三脚型」のサービス提供方法もあります。FileMakerはそういう二人三脚型の開発方法にもぴったりなんです。これまでは両者の開発比率が半分ずつのことが多かったですが、最近では徐々にお客様側が担う開発比率が高くなるようにしています。お客様側の開発比率を上げていき、私たちはサポート役のような形でコンサルティング提供や難易度の高い開発をお手伝いする。そうやってお客様自らが開発のサイクルを回せるようにしていくことは、私たちの狙いでもあります。

作成したiPadアプリをフライターグ氏に説明する除野氏
作成したiPadアプリをフライターグ氏に説明する除野氏

昨日よりも今日、今日よりも明日、改善の積み重ねが日常的に行える

フライターグ氏

 先ほど除野さんは、SaaSなどを連携するためにFileMakerを導入した、とおっしゃっていました。異なるアプリケーションを容易に連携できるようにする「Claris Connect」などを利用されているかと思いますが、利用してみた感想はいかがでしょうか。

除野氏

 たとえば他のSaaSと連携する際の認証もClaris Connectを使うと簡単ですよね。現在利用している会計や人事向けのSaaSは直接FileMakerと連携する機能は備えていませんが、SaaS上で情報登録などの操作をした際、それを契機にWebhookを使った仕組みによってFileMakerでスクリプトを実行し、必要な連携データを取得する、というような使い方もしています。

 また、そうした連携のなかで外部のクラウドストレージサービスにファイルを自動アップロードするような仕組みも作っています。そんな感じでClaris Connectを使うところと、独自にAPIを作成してFileMakerと連携するところ、その両方をうまく組み合わせながら運用しています。

フライターグ氏

 社内では何人くらいが開発に携わっているのですか。

除野氏

 未来Switchの片岡さんに協力をお願いすることもあるのですが、社内では私1人だけしかいないんです(笑)。なので今年の一番の課題は、社内にもう1人FileMakerで開発できる人を作ること。Clarisさんはトレーニング用の動画コンテンツなどもどんどん追加されているので、開発者の育成もしやすいですし、僕自身もそれで楽しく勉強できています。

 FileMakerだと、ちょっと気になったところをすぐに直すことができて、昨日よりも今日、今日よりも明日、という感じで社内システムが少しずつ便利に改善されていきます。そういう改善の積み重ねが日常的に行えるのは内製化の大きなメリットですし、FileMakerだからこそできることでもあるな、と実感しています。

従業員が自分の得意なことに時間を使えるように経営を改善する

フライターグ氏

 FileMakerの導入に際して、施設運営スタッフは新しい業務の仕方を抵抗感なく受け入れてもらえたのでしょうか?

除野氏

 抵抗感はなかったですね。むしろ毎日のルーチンワークのような作業が、FileMakerを使ったデータ連携などで自動化され、手を動かす必要がなくなったことに感激していました。一方のデータをもう一方のデータベースに転記して整理するような、毎日30分はかかっていた作業がゼロになり、手作業だと発生しがちなミスもなくなっています。自動化によってスタッフの生産性が上がり、仕事も楽になって、想像以上の変化を感じています。

 経営者の立場としては、特にこういったサービス業では、スタッフの限られた時間を本来業務とは無関係な事務作業に使ってほしくありません。代わりに、会員の方となるべく長い時間触れ合ってサポートする時間に費やしてほしいんです。トレーナーにしてもフロントのスタッフにしても、みんな人とコミュニケーションをとるのが好きなメンバーですから。雑談でもいいので会員の方とのコミュニケーションに時間を費やしてもらった方が、お客様のエクスペリエンス向上につながるはずですよね。

フライターグ氏

 おっしゃる通りだと思います。ちなみに私がCEOになってからFileMakerの開発にアジャイルの手法を取り入れました。そこでは「理念・品質・生産性・持続性」という4つの観点から効果測定しているのですが、アジャイル開発で大事なのは、それら4つを同時に改善していけるかどうかです。私も従業員には自分が得意なことに時間を使ってほしいと考えていますし、そうすることでその人自身や周りのメンバーの質が高まることにもつながります。価値提供や継続的改善という意味でも、スタッフが本来の業務に集中できるようにすることは非常に理にかなったことだと思います。

業務に集中できる環境をつくり続け、顧客満足度のさらなる向上を

フライターグ氏

 スポーツクラブでのオペレーションの様子も見せていただきましたが、スタッフの方は本当にハッピーに働いているようでした。システムを作り、改善していくことで、スタッフ同士がチームとしてまとまり、会員のより良いエクスペリエンスにも結び付くことと思います。私たちのこのパートナーシップがぜひこれからも長く続いてほしいと願っています。

除野氏

 もちろんこれからもFileMakerでのシステム開発、業務改善を続けていくつもりです。ただ、内製化といっても全てを自分たちだけで完結できたわけではありません。片岡さんやClaris社のサポートがあったからこそです。困った時にはいつでも質問して、助けてもらえるコミュニティを提供いただけるのは、ものすごく安心感があります。

 これからもFileMakerを活用し改善の仕組みを回し続け、スタッフ1人1人がそれぞれ得意な分野に集中できるようにすることで、より良いサービス提供をしていきます。ブラッドさんには、そのためのFileMakerの機能やユーザコミュニティを引き続き拡充していっていただけると幸いです。

提供:Claris International Inc.
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