従来、bellFaceの利用者はIT業界、人材派遣業など、比較的ITに馴染みがある業種の利用が多かった。それが新型コロナウイルス発生以降は大きく変化し、これまで対面での営業活動を重視しきた金融、不動産、製薬、製造業といった業種からの問い合わせが増えてきたという。「メリットが理解されれば、もっと幅広い業種で利用されていく」というのが西山氏の見方だ。
オンライン営業システムの最大のメリットは、移動時間がなくなることだ。これまで1日2~3件がせいぜいだった営業活動が、移動時間がなくなることで5~10件も可能になる。
「オンラインで営業のアポイントをとると、対面に比べて直近の日程となるケースが多い。『明日の〇時はいかがですか? 明後日の〇時はいかがですか?』というようになり、商談完結までのリードタイムが、面談に比べて短くなる傾向にあります」(西山氏)
また、オンライン営業であれば、「距離」を考えずに商談が進められる。これまでは地域ごとに商圏が区切られてきたが、遠隔地の顧客に対しても商談が可能になる。
「弊社には九州、沖縄在住の社員がいますが、一度も本社に来ることなく仕事をしています。商圏拡大につながるだけでなく、社員の居住地域に制限がなくなることも、オンラインの大きなメリットです。場所の制約がない分、育児や介護で自宅を空けられない場合でも、有効な手段になります」
営業活動後に必要となる作業もオンラインであれば効率的に行える。訪問営業の場合は、訪問先からいったんオフィスなり自宅に戻ってから、お礼のメールや資料を送るといった作業をしなければならないが、オンライン営業なら、移動時間がなくなる分、営業終了後すぐに後処理に取りかかれる。仕事を早く終えられれば、家族と過ごす時間を増やしたり、自分のスキルアップに時間を使ったりするなど、ワークライフバランスにとってもプラスになる。
商談回数の増加、商談完了までの時間短縮、商圏拡大などのメリットがあるオンライン営業だが、それ以上に大きな価値を生むのが、録画した「商談データ」をチームで活用することによる、営業スタイルの変革だ。
「bellFaceには、オンラインでの営業活動の様子をデータとして蓄積できる『レコログ機能』があります。蓄積された録画データを活用できることは、対面営業では実現できない大きなメリットであり、チーム、ひいては会社の資産になります」と西山氏は断言する。
bellFaceでは、録画できるだけでなく、それをテキスト化する機能も搭載している。これを使えば、重要な単語をもとに検索し、その単語が使われている場面を確認することも可能になる。
「例えば、自社の営業担当者が、競合商品との違いをどのように説明しているのか、適切な説明ができているのかを確認したい場合、競合製品を単語として登録し、抽出することで、上長は社員が適切な説明ができているのかを簡単に確認できます」(西山氏)
訪問営業で同じことをやろうとすれば、上長が部下の営業に同行しなければならず、1日に2〜3件がせいぜい。そもそも、同行は時間の無駄であり、上長には上長がやるべきもっと重要な業務があるだろう。bellFaceの録画データで商談をチェックするのであれば、キーワード抽出して必要な部分だけをチェックできるので、2時間もあれば7〜8件の商談を確認できる。
もちろん、データは上司が活用できるだけではなく、チーム内で共有することも可能だ。例えば、入社したばかりの新人が、成績が優秀な先輩社員がどのように説明しているかを参考にするといったことだ。
「上司からいちいち指示されるよりも、自発的に営業成績の良い先輩社員の様子を参考にする方がモチベーションも上がるはずで、理解も深まるはずです。商談を録画データは、企業の営業戦略や人材育成を変える武器にもなり得るのです」(西山氏)
bellFaceには、レコログ機能のほか、オンラインでつながっている相手に名刺情報を提供する「名刺プロフィール機能」、双方が同じデジタルメモを編集し、議事録代わりに利用することも可能な「共有メモ」など、営業活動を行う上で利便性が高い機能も搭載している。また、商談の記録や顧客データに関しては、セールスフォース・ドットコムのCRMなどとも連携することも可能となっている。
対面ができなくなったからオンライン営業に切り替えるというのではなく、オンライン営業ならではのメリットを生み出せるところが、bellFaceの大きな価値と言えるだろう。
操作面におけるbellFaceの大きな特長が、「環境やリテラシーに依存せず、誰でも簡単に使える」ということだ。インターネットにつながってさえいれば、パソコンであっても、スマートフォンやタブレットであっても、デバイスやブラウザを問わずすぐにつながる。
「『自社の社員に使いこなせるだろうか』『商談相手が個人や中小企業が多くあまりITに詳しくない』といった懸念をお持ちのお客様は多いようです。その点、bellFaceは、誰でも使いやすく、手間なく使えるオンライン営業ツールということを開発コンセプトとしています」(西山氏)
また、セキュリティ面にも注力してきた。オンライン営業のデータは暗号化を行い、第三者がデータを見ることができない仕様としている。ファイルのアップデートの際にはAES256による暗号化を使用している。
顧客から「本来共有すべきではない資料を、誤って共有してしまう事故が怖い」という声があがったことを受けて、会議前にチェックして共有しても大丈夫な資料のみを共有できる機能も搭載し、重要な情報が社外に漏洩するリスクを排している。
さらに、ベルフェイスの社内体制についても、2016年からISMS(情報セキュリティマネージメント)を取得するなど、セキュリティ意識の高い組織作りを進めてきた。最近では金融業界での導入が増えていることから、さらに高い社内セキュリティを実現するべく「FISC安全対策基準」への対応準備も進めている。
bellFaceは、その容易な操作性やオンライン営業に必要な機能の搭載で、すでに2,500社(累計)を超える企業に導入されている。
「導入に成功した企業は、経営者がオンライン営業に対する明確なビジョンを持ち、トップダウンで営業スタイルを変えていくことを進めた企業が多い」と、西山氏は言う。
ただ、今日のような状況下では、営業の現場からオンライン営業システムの導入を望む声が高まるケースもある。トップダウンにせよ、ボトムアップにせよ、それを組織内に定着させ、オンラインに営業スタイルをシフトしていくにはノウハウが必要になる。
そこでベルフェイスでは、活用方法や機能のレクチャー、成果向上の支援、他ツールとの連携サポートなど、導入支援やサポートにも力を注いでいる。これができるのも豊富な導入事績があってのことで、そこがベルフェイスの大きな強みとなっている。また、ユーザー企業の要望に耳を傾け、つねに使い勝手が良くなっている点も、ユーザー企業から評価が高い。
「当社の機能の多くはお客様の声を反映し拡張してきものです。日本のメーカーとして、日本のお客様の声を反映できることが強みの一つと考えています」(西山氏)
西山氏はこうした利用者の声を反映した機能拡張に加え、新しい領域をカバーする準備を進めていることも明らかにした。
「現在はBtoBの営業活動にのみ対応していますが、これをBtoCにも拡大していきたいと考えています。店頭でコンシューマのお客様にセールスをする際にもオンライン営業システムを利用できるようになれば、あらゆる営業活動をオンラインで支援する世界を実現です」
ベルフェイス株式会社が提供するシステムが、あらゆる営業の場をオンラインで行えるツールとなる日も遠くないようだ。