2023年 中堅・中小向けBI市場で新規導入やリプレースを活性化するための留意点

ノークリサーチは中堅・中小向けのBI市場において新規導入やリプレースを活性化させるために何が必要か?を分析し、その結果を発表した。

<細かい年商区分に基づく市場理解とツールの進化に応じた課題の把握が押さえるべきポイント>
■シェア上位はCognos/Business Objects/Dr.Sum、Excelからのステップアップは依然進まず
■BI市場は通常の中堅・中小企業分類よりも細かい合計4つの年商区分で捉える必要がある
■ツールの進化を受けて、課題は「ETL」から「分析対象の選定」や「UIの使い勝手」へと変化

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2023年11月1日

2023年 中堅・中小向けBI市場で新規導入やリプレースを活性化するための留意点

調査設計/分析/執筆:岩上由高


ノークリサーチ(本社〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室 代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:http//www.norkresearch.co.jp)は中堅・中小向けのBI市場において新規導入やリプレースを活性化させるために何が必要か?を分析し、その結果を発表した。本リリースは「2023年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」内のBIに関するサンプル/ダイジェストである。


<細かい年商区分に基づく市場理解とツールの進化に応じた課題の把握が押さえるべきポイント>
■シェア上位はCognos/Business Objects/Dr.Sum、Excelからのステップアップは依然進まず
■BI市場は通常の中堅・中小企業分類よりも細かい合計4つの年商区分で捉える必要がある
■ツールの進化を受けて、課題は「ETL」から「分析対象の選定」や「UIの使い勝手」へと変化


対象企業: 年商500億円未満の中堅・中小企業1300社(日本全国、全業種)(有効回答件数)
対象職責: 情報システムの導入や運用/管理または製品/サービスの選定/決済の権限を有する職責
※調査対象の詳しい情報については右記URLを参照 リンク


■シェア上位はCognos/Business Objects/Dr.Sum、Excelからのステップアップは依然進まず
本リリースの元となる調査レポート「2023年版中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」では、10分野に渡る業務アプリケーション製品/サービスの社数シェアおよびユーザ評価を集計/分析している。以下のグラフはその中からBIの導入済み社数シェアを中堅・中小企業全体(年商500億円未満、複数回答可)で集計したものだ。 「IBM Cognos」、「SAP BusinessObjects」、「Dr.Sum」といった製品/サービスが社数シェア上位(3位以内)に見られるが、4位には「Microsoft Excel」が位置している点に注意する必要がある。つまり、中堅・中小企業ではデータ分析を行う際に専用ツールではなく、Microsoft Excelでカバーしているケースが依然として少なくないことがわかる。BI製品/サービスを開発するベンダとしては、Microsoft Excelから専用ツールへのステップアップを如何に促進するか?が引き続き重要な取り組みポイントとなってくる。
また、BI製品/サービスを訴求する際は様々な業務システムにおいてどのようなデータ活用ニーズがあるか?を把握することも大切だ。本リリースの元となる調査レポートではERP、生産、会計、販売、人事給与、ワークフロー、コラボレーション(グループウェア/ビジネスチャット/Web会議)、CRM、クラウドストレージにおける課題/ニーズも分析している。BI市場で成果を上げるにはこうした業務システム全般の動向を幅広く理解しておくことも重要だ。次頁では、BIの年商規模別導入状況について述べる。

■BI市場は通常の中堅・中小企業分類よりも細かい合計4つの年商区分で捉える必要がある
前頁に掲載した導入済み社数シェアには様々な製品/サービスが列挙されており、それらが訴求対象とする顧客年商規模も多岐に渡っている。 そのため、BI市場でシェア維持/拡大を図る際はBIの導入状況を年商規模別に把握することが第一歩となる。本リリースの元となる調査レポートでは、以下のような選択肢を列挙してBI製品/サービスの導入状況を尋ねている。 BI製品/サービスの導入状況を尋ねた設問の選択肢
「導入済み:継続」 導入済みであり、現在のベンダの製品/サービスを今後も利用
「導入済み:変更」 導入済みだが、異なるベンダの製品/サービスに変更する予定
「未導入:新規予定」 まだ導入していないが、新規に導入する予定
「未導入:予定なし」 まだ導入しておらず、今後も導入する予定はない
以下のグラフは上記の選択肢に従って、BI製品/サービスの導入状況を尋ねた結果を年商別に集計したものだ。
まず、中堅・中小企業におけるBI活用は比較的新しい市場であるため、BI製品/サービスの拡販を考える際には「導入済み:継続」と「導入済み:変更」だけでなく、「未導入:新規予定」を加えた合計割合(潜在シェア)で市場全体を捉える必要がある。 一般的に中堅・中小企業における業務アプリケーションの導入状況は
・年商5億円未満(小規模企業層)
・年商5~50億円(中小企業層)
・年商50~500億円(中堅企業層)
の3つの区分で傾向が分かれる。実際に、上記のグラフにおける潜在シェアは年商5億円と年商50億円を境界線として値が大きく変化している。しかし、さらに詳細を見ると、中小企業層の中でも年商5~10億円と年商10~50億円では潜在シェアの値に大きな差があることが確認できる。そのため、BI市場については
・区分1:年商5億円未満
・区分2:年商5~10億円
・区分3:年商10~50億円
・区分4:年商50~500億円
の4区分で傾向を捉えていくことが大切だ。次頁では中堅・中小企業がBI活用で抱えている課題について述べる。

■ツールの進化を受けて、課題は「ETL」から「分析対象の選定」や「UIの使い勝手」へと変化
BI製品/サービスの新規導入やリプレース(Microsoft Excelからのステップアップも含む)を活性化させるためには、現段階でユーザ企業がどのような課題を抱えているか?を把握する必要がある。そこで、本リリースの元となる調査レポートでは以下のような選択肢を列挙して、BI活用における課題は何か?を集計/分析している。
「導入済みの最も主要なBI製品/サービスにおける課題」の選択肢
<<分析対象となる業務システムやデータに関する項目>>
・業務システムからデータを取得する作業が煩雑/困難(※1)
・業務システムのどのデータを分析すべきか分からない(※2)
・人口動態などの公共データを含めた分析ができない
・WebサイトやSNSのデータを分析対象に含められない
・SaaSの業務システムを分析対象に含められない
・従業員のPC内データを分析対象に含められない
<<システムの形態や価格に関する項目>>
・データを参照するだけの用途では機能過多である
・開発の中断や価格変更が起きないか心配である
・他のBI製品/サービスと併用/連携できない
・サーバ導入が必須であることの負担が大きい
・スマートデバイスでは限られた機能しか利用できない
・Webブラウザでは限られた機能しか利用できない
・無料の製品/サービスと比べて機能面の大差がない
<<機能に関する項目>>
・どのような分析手法を用いれば良いか判断できない
・直感的な操作ができないため、操作の習得が難しい
・画面や操作が使い慣れているExcelとは大きく異なる(※3)
・データの変換/除去などの事前処理が煩雑で難しい(※4)
・どのようなグラフ表現を選択すべきか判断できない
・様々な分析結果が散在していて全体を見通せない
・同じような分析手順を何度も繰り返す必要がある
・多種多様な帳票やグラフが乱立して統一性がない
・スマートデバイスでは帳票やグラフを参照できない
・データ分析を担う社内人材がおらず、育成も難しい
<<その他>>
・その他:
・課題は全くない(排他)

以下のグラフは上記の中から、※1~4の回答割合を中堅・中小企業全体で集計したものだ。
※1と※2の比較が示すように、<<分析対象となる業務システムやデータに関する項目>>ではデータ取得の課題(※1)よりも分析対象の選定(※2)の方が大きな課題となっている。以前はデータウェアハウス(DWH)の構築率が低い中堅・中小企業ではETL(Extract/Transform/Load)に該当する作業が課題となりやすかったが、昨今ではDWHを構築せずに様々なデータを取得する仕組みを備えたツールも登場してきている。こうした課題の変化は<<機能に関する項目>>における※3と※4の比較にも見られる。現段階ではデータの事前処理(※4)よりも、ExcelとのUI上の使い勝手の違い(※3)がより大きな課題となっていることが確認できる。このようにBI製品/サービスの進化に応じてユーザ企業が抱える課題も変わっており、こうした変化を的確に捉えることが極めて重要だ。ここではユーザ企業が抱える課題に関する分析結果の一部を紹介したが、調査レポートでは今後の機能ニーズなどについても詳しい分析と提言を述べている。

補記:社数シェア集計/分析の対象となっているBI製品/サービスの一覧

本調査において選択肢に記載したBI製品/サービスの一覧は以下の通りである。選択肢に掲載される製品/サービスは過去
の調査結果や最新の市場状況などを踏まえた上で選定される。自由回答の中から多く挙げられたものは選択肢として新たに取り上げ、逆に一定期間以上シェア数値がないものは割愛するといった方針で年毎に調整を行っている。
製品/サービス毎の評価や導入費用の集計/分析はサンプル件数が一定以上の条件(件数が少ない場合には参考値扱いとなるケースもある)を満たした(※)のみが対象となる。
Dr.Sum: ウイングアーク1st (※)
SAP BusinessObjects: SAPジャパン (※)
IBM Cognos: 日本IBM (※)
SASスターターパック: SAS Institute Japan (※)
BusinessSPECTRE: 電通国際情報サービス (※)
QlikView/Qlik Sense: クリックテック・ジャパン (※)
Tableau: タブローソフトウェア(セールスフォース・ジャパン) (※)
Actionista!: ジャストシステム (※)
MotionBoard: ウイングアーク1st (※)
dotData: dotData (※)
MicroStrategy: マイクロストラテジー・ジャパン (※)
WebFOCUS: アシスト (※)
Yellowfin: Yellowfin Japan
Excellent/WebQuery: システムコンサルタント
DataNature: NTTデータNJK (※)
PowerFolder: エイコット
LaKeel BI: ラキール
FineReport: バリューテクノロジー、帆軟(Fanruan)ソフトウェア
データスタジオ@WEB: DTS
WebReport: JBアドバンスト・テクノロジー (※)
軽技Web: 富士電機 (※)
Zoho Analytics: ゾーホージャパン
Data Knowledge: クロスユーアイエス
Power BI: 日本マイクロソフト (※)
Googleデータポータル(Looker Studio): グーグル (※)
Knowledge Suite: ブルーテック(ナレッジスイート)
nehan: nehan
Domo: Domo
Oracle Business Intelligence: 日本オラクル (※)
SAP IQ(Sybase): SAPジャパン (※)
TIBCO Spotfire: TIBCO Software
OpenText Business Intelligence: オープンテキスト
OpenText Analytics: オープンテキスト
Pentahoシリーズ: Pentaho
Jaspersoft BIシリーズ: Jaspersoft
Microsoft SQL Server(RDBのみの利用は除く): 日本マイクロソフト (※)
Microsoft Excel: 日本マイクロソフト (※)
その他の製品/サービス:
ハードウェアとソフトウェアが一体となったアプライアンス
ERP/基幹系システムの一機能として利用
独自開発システム


本リリースの元となる調査レポート

『2023年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート』
10分野に渡る業務アプリケーションの導入済み/導入予定の社数シェア、運用形態(オンプレミス/クラウド)、端末形態、導入年、導入費用、課題、ニーズを全て網羅した中堅・中小市場のIT活用提案における必携書

【対象企業属性】(有効回答件数:1300社)
年商: 5億円未満 / 5億円以上~10億円未満 / 10億円以上~20億円未満 / 20億円以上~50億円未満 /50億円以上~100億円未満 / 100億円以上~300億円未満 / 300億円以上~500億円未満
従業員数: 10人未満 / 10人以上~20人未満 / 20人以上~50人未満 / 50人以上~100人未満 /100人以上~300人未満 / 300人以上~500人未満/ 500人以上~1,000人未満 /1,000人以上~3,000人未満 / 3,000人以上~5,000人未満 / 5,000人以上
業種: 組立製造業 / 加工製造業 / 建設業 / 卸売業 / 小売業 / 流通業(運輸業) /IT関連サービス業 / 一般サービス業 / その他:
地域: 北海道地方 / 東北地方 / 関東地方 / 北陸地方 / 中部地方 / 近畿地方 / 中国地方 /四国地方 / 九州・沖縄地方
その他の属性: 「IT管理/運用の人員規模」(12区分)、「ビジネス拠点の状況」(5区分)
【全体の構成】
有効回答件数1300社の中堅・中小企業に対して、まず最初に以下に列挙した10分野の業務アプリケーションのうちで 導入済み/導入予定の分野を尋ねる。その後、「導入済み/導入予定」と回答した分野について、製品/サービス名称を列挙した社数シェア、運用形態、端末形態、導入年、導入費用、課題とニーズ(分野によって選択肢は異なる)を尋ねた結果を集計/分析している。
また、業務アプリケーションの導入/更新に関する全般的な方針についても尋ねている。
P1. ERP
P2. 生産管理
P3. 会計管理
P4. 販売・仕入・在庫管理会議)
P5. 給与・人事・勤怠・就業管理
P6. ワークフロー・ビジネスプロセス管理
P7. コラボレーション(グループウェア/ビジネスチャット/Web
P8. CRM
P9. BI
P10. 文書管理・オンラインストレージサービス
【分析サマリ(調査結果の重要ポイントを述べたPDFドキュメント)の概要】
各分野について10~20ページからなる分析サマリが計10ファイル、「業務アプリケーションの導入/更新に関する方針」をまとめた分析サマリが1ファイル、さらに全分野を横断する形で法制度対応およびデータ分析/生成AIに着目した分析サマリが2ファイルの計13ファイルのPDFドキュメントが収録されている。P1~P10の10分野の分析サマリは以下の章構成となっている。
(章構成は共通だが、分析/提言の内容は各分野の傾向や特性に応じて大きく異なる)
第1章:製品/サービスの導入状況とシェア動向
製品/サービスの「導入状況」、「製品/サービスの導入社数シェア」、最も主要な製品/サービスの「導入年」、「導入元」、「評価概況」といったデータの中から、分野毎に重要なポイントを分析している。
第2章:運用形態と端末環境
最も主要な製品/サービスにおける「運用形態」と「端末環境」に着目し、クラウド移行の状況や端末環境の多様化などについて分野毎の傾向を分析している。
第3章:製品/サービスの評価、課題、ニーズ
最も主要な製品/サービスに関して「評価/満足している機能や特徴」「現時点で抱えている課題」「今後持つべきと考える機能や特徴」を尋ねた結果を分析している。
付表:選択肢として記載した製品/サービス一覧
本調査において選択肢に記載された製品/サービスの一覧を掲載している。選択肢に掲載される製品/サービスは過去の調査結果や最新の市場状況を踏まえて選定され、自由回答の中から多く挙げられたものは選択肢として新たに取り上げ、逆に一定期間以上シェア数値がないものは割愛するといった形で年毎に調整を行っている。
【レポート案内(設問項目、試読版など)】 リンク
【発刊日】 2023年10月20日 【価格】 180,000円(税別) 特定分野のみの個別販売は行っておりません

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当調査データに関するお問い合わせ

株式会社 ノークリサーチ 担当:岩上 由高
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-13-10 武蔵野ビル5階23号室
TEL 03-5361-7880 FAX 03-5361-7881
Mail: inform@norkresearch.co.jp
Web: www.norkresearch.co.jp

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